海の向こうの競馬、そしてホースマン

第1回
リードポニーが導いたニューアプローチの英ダービー制覇(1)
 

中野本町の閑静な住宅地の一角にある
(有)リージェントに合田さんを訪ねたのは、
よく晴れた、気持ちのいい日の午後でした。

カジュアルないでたちの合田さんは、
この日の天気のような爽やかな笑顔で、
われわれを出迎えてくれました。

まず話題になったのは、2008年英ダービー、
英、愛の両チャンピオンSといったGⅠ戦を制し、
同年ワールド・サラブレッド・ランキングで
カーリンと並ぶ第1位に輝いたニューアプローチのこと。
合田さんが、こんな裏話を披露してくれました。

「ニューアプローチって、
 とてもキャラが立った馬なのですね。
 2歳時にアイルランドのカラ競馬場で走ったときには、
 なかなかパドックに入ってこない。
 カラ競馬場はパドックへ入ってくる際に
 アーチをくぐり抜けるのですが、
 どうも、そのアーチを嫌がったみたいで、
 完全に膠着してしまったんです」

「こういう特異な癖があるニューアプローチを
 管理するジム・ボルジャー調教師は、
 2007年の2歳GⅠ戦デュハーストSに出走する際に、
 ある提案を主催者側に投げ掛けます。
 それは、リードポニーを
 本馬場まで帯同させることでした」

 果たして、ボルジャー調教師の提案は、
 主催者側にどう受け取られたのか?
 そして、ニューアプローチの運命は?
 続きは、4月1日から毎日お届けします。

(第2回へ続く)

構成・文/関口隆哉

 

合田直弘氏 プロフィール

1959年東京生まれ。慶応普通部(中学)時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶応大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。