海の向こうの競馬、そしてホースマン

第29回
海外の競馬場から依頼され、日本馬の海外遠征をお手伝い
 

合田さんの所属する(有)リージェントでは、
海外有名競馬場の日本におけるマーケティングを
頼まれるケースが多いそうです。
その競馬場で行われる国際レースに、
日本からの参戦馬を募ったりすることも、
大切な仕事となってきます。

「たとえば、
 毎年7月にイギリスのアスコット競馬場で
 行われるキングジョージVI世&QエリザベスSに対し、
 日本から出走意志のある馬がいないかどうかを調べる、
 そしてそういう馬が見つかったときに、
 出走に向けてのお手伝いをするというのが、
 ウチの仕事ということになります」



「依頼主はレースを行なうアスコット競馬場。
 本来は、
 JRAの国際部とかの管轄なのかもしれませんが、
 JRAとしては、
 本来なら日本で走って欲しいスターホースに
 海外に出て行かれるのは、痛し、痒し
 というところもあり、
 アスコット競馬場の意向に全面的に協力
 することが難しかったりするわけです。
 それで、ウチに依頼が回ってくる。
 実際に、2006年の“Kジョージ”に
 ハーツクライが出走した際には、
 ウチでお手伝いをさせていただきました」

このほか、
複数のG1レースが行なわれる
ドバイワールドCデー、
香港国際競走デー
といったアジア地区で行なわれる
競馬のビッグイベントの際も、
(有)リージェントのスタッフは
大活躍をしています。

「これは、ぼくではない、
 ウチの会社のスタッフが担当しているのですが、
 3月のドバイワールドC、
 12月の香港国際競走における、
 日本馬の動向を英文のプレスリリースに
 まとめる仕事を請け負っています」

「ドバイも香港も、
 レースに出走馬のいる国から
 たくさんの報道陣が集まってくるのですが、
 その記者に対しては、とても詳しい
 オフィシャルのプレスリリースが発行される。
 ウチのスタッフは、
 プレスリリースの日本馬に関する部分の
 作成に携るわけです。
 ドバイ、香港では、
 海外から来る報道関係者に対して、
 実に行き届いたサービスを提供してくれます」

「正直、現状ではドバイや香港に比べて、
 ジャパンCはやや盛り上がりに欠ける面も
 あるかと思うのですが、こういう細かい点でも、
 国際競走としては後発の両国から見習うことが、
 多々ありますね」

(第30回に続く)

構成・文/関口隆哉

 

合田直弘氏 プロフィール

1959年東京生まれ。慶応普通部(中学)時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶応大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。