狭い範囲にたくさんの競馬場が存在することも、
イギリス競馬の魅力のひとつだと、
合田さんは言います。
「グッドウッド競馬場は、ロンドン市内から
車で2時間ぐらいのところにあるのですけど、
そのグッドウッドを含め、
ロンドンから日帰りで行って、
帰ってこられる競馬場というのが、
10カ所くらいあるのですね」
「まあ、時間とお金があれば
という条件は付きますけど、
7、8月のロンドンに2~3週間ぐらい
腰を落ち着ける気になれば、
その10カ所の競馬場は、
ほとんど回れるのではないでしょうか」
日本でも、夏場の北海道や小倉の開催で、
夕刻のレースの始まりが通常より遅くなる、
「はくぼレース」が行なわれていますが、
本場イギリスの「薄暮競馬」は、
スケールそのものが、まったく違うそうです。
「夏場のイギリスの日の入りというのは、
日本よりだいぶ遅くて、
午後10時あたりになる。
競馬場のプログラムも午後6時くらいに
第1レースが始まって、
10時くらいに最終レースが行われる
というものが多いんです。
この、暮れそうで暮れない、
夕方の日差しのなかで
行なわれる競馬というのが、
本当に素晴らしい!」
「日本の大井とかで行なわれている
ナイター競馬もいいものですが、
人工的ではない、自然の摂理を利用した
イギリスの薄暮競馬というのは、
ナイター競馬とは一味も二味も違うものです。
是非日本の競馬ファンの方々に味わって欲しい、
ヨーロッパならではの美しい競馬ですね」
(第18回に続く)
1959年東京生まれ。慶応普通部(中学)時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶応大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。