「1980年代がダンシングブレーヴなら、
1990年代の心に残る外国馬の筆頭格は、
1995年の英ダービー、
KジョージⅥ世&QエリザベスS、
凱旋門賞を3連勝したラムタラ
ということになります」
こう切り出した合田さんは、
さらに話を続けます。
「この話は、いろいろな場所でしているので、
もしかすると“耳に煮タコ”という
競馬ファンもいるかもしれませんが、
ラムタラというのは、
本当にドラマチックなストーリーを
持ったサラブレッドなのです」
「この馬が2歳のとき、
管理していたアレックス・スコット調教師が
射殺されてしまうという、
なんともショッキングで
悲劇的な事件に遭遇してしまう。
そのスコット師のお葬式のときに
弔辞を読んだのが、
スコット師の親友でもあり、
ラムタラのデビュー戦にも騎乗した
W・スウィンバーン騎手だったのです。
その弔辞のなかで、スウィンバーン騎手は
スコット師の遺志を継いで、
翌年のラムタラの英ダービー制覇を
誓ったのです」
「ところが、S・ビン・スルール厩舎に移籍し、
冬場をドバイで過ごしたラムタラは
体調を崩してしまう。
一時は春シーズン全休という
話も流れたラムタラですが、
英ダービーを前にして、
急速に調子を上げてきたのです」
やっと希望の光が見えてきたラムタラ。
そして迎えた1995年英ダービーで
“奇跡”が起こるのです。
(第6回に続く)
1959年東京生まれ。慶応普通部(中学)時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶応大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。