海の向こうの競馬、そしてホースマン

第28回
国内だけで完結してしまう日本の競馬マスコミ
 

ヨーロッパと日本の競馬文化の違いは、
サラブレッドたちが暮らす環境や、
直接馬を扱うホースマンたちの考え方だけに
顕著なものではないと合田さんは言います。

「たとえば、
 競馬を報道するマスコミで
 活動している記者の姿勢も海外のメディアとは、
 だいぶ違うと思います。
 ジャパンCなどで来日する海外の競馬記者たちは、
 われわれのような日本人のメディア関係者に
 積極的に話かけてくる」

「日本のファンが一番期待しているのは、
 どの馬なのかという質問は頻繁にされますし、
 日本の競馬事情に関しても、
 様々な内容のことを聞いてくる。
 ところが、
 ディープインパクトの凱旋門賞のときも、
 それからドバイワールドCや、
 香港インターナショナルのときも、
 日本の競馬記者は、
 自分の国の馬のことしか
 取材しない人がほとんどですね。
 日本馬の陣営の話ばかりを熱心に聞いているから、
 海外の競馬関係者との接点を持てない。
 なんだかもったいないですよね」

「最近では、海外の大レースで、
 外国馬や外国人ホースマンにレンズを向ける
 日本人カメラマンもお見受するようになりましたが、
 基本的に日本の競馬マスコミは、
 国内の馬のことだけでニュースの需要が
 まかなえてしまう。
 そういう傾向が、
 競馬文化という面での広がりや深まりを
 遮断しているのは確かでしょうね」

さて、明日からは、
年間の3分の1ほどを海外で過ごす合田さんが、
現在、国内外で展開している競馬の仕事について
詳しく伺っていきます。
いよいよ
世界的ホースマンである合田直弘の真実の姿が、
白日のもとに曝される(?)ときが
やって来るのです。

(第29回に続く)

構成・文/関口隆哉

 

合田直弘氏 プロフィール

1959年東京生まれ。慶応普通部(中学)時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶応大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。

 

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