2005年5月7日。
第131回ケンタッキーダービーが行なわれる、
この日のチャーチルダウンズ競馬場に、
一軒のレモネードスタンドが立てられました。
店の名前は『アレックスちゃんのレモネードスタンド』。
「話は、少し前に遡ります」
こう切り出した合田さんが、
このレモネードスタンドのルーツを説明してくれました。
「小児ガンを患って、入退院を繰り返していた、
アレックスちゃんという少女がいました。
このアレックスちゃんが、
普段お世話になっているお医者さんや看護師さんに、
なにか自分でできるお礼がしたいと考えたのですね」
「レモネードだったら、自分で作ることができる。
そう思いついたアレックスちゃんは、
自分の誕生日に、レモネードを手作りして、
お医者さんたちに振舞ったところ、
これが大好評だったのです」
「やがて、アレックスちゃんは、自宅の庭の一角に、
“アレックスちゃんのレモネードスタンド”をオープンします。
店は大繁盛し、その売り上げは、
アレックスちゃんが治療を受けている病院に
寄付されることになりました」
「このエピソードは広く報道され、
篤志家たちが立ち上がります。
“アレックスちゃんのレモネードスタンド”は全米中に広がり、
その売り上げは、
小児ガン撲滅キャンペーンへ寄付されるようになったのです」
この『アレックスちゃんのレモネードスタンド』が、
どうしてケンタッキーダービーと結びついたのか?
その理由は、また明日ということで。
(第9回に続く)
構成・文/関口隆哉
1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。