「2005年の米3歳戦線において、
中心馬の一頭となっていたのが、
前走G2アーカンソーダービーで8馬身差の圧勝を飾っていた
アフリートアレックスでした。
“アレックス”という馬名は、
共同馬主のお子さんの名前にちなんでいるそうですが、
自分の子供と同じ名前で、同じ年頃で、
小児ガンと闘っているアレックスちゃんの存在に、
感じるところが大きかったようです」
「実は、アフリートアレックスが
2歳G1戦ホープフルSを制す直前である、2004年8月に、
アレックスちゃんは8歳で天に召されることになってしまったのですが、
“アレックスちゃんのレモネードスタンド”の主旨に
賛同していたアフリートアレックスの馬主チームは、
賞金の一部を小児ガン撲滅キャンペーンに寄付し続けていました」
アレックスちゃんが亡くなった後も、
全米中で『アレックスちゃんのレモネードスタンド』
に対するムーヴメントは、
大きな盛り上がりを見せていました。
そして、馬主チームが、
小児ガン撲滅キャンペーンに熱心に取り組んでいる縁もあり、
2005年ケンタッキーダービーが行なわれるチャーチルタウンズ競馬場にも
『アレックスちゃんのレモネードスタンド』が開設されます。
このお店では、
亡くなったアレックスちゃんのお母さんも売り子を務めたそうです。
「これで、アレックスアフリートがケンタッキーダービーを勝てれば、
文句の付けようがないドラマチックな展開となるのですが、
競馬というのは、なんとも難しい…」
さてレースの結果は?
続きは明日お届けします。
(第10回に続く)
構成・文/関口隆哉
1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。