世界を舞台に競馬の仕事を続けている合田さん。
当然、「世界最大の競馬の町」ニューマーケットは、
折に触れ、訪問する土地となっています。
今年の春にも、ニューマーケットを訪れた合田さん。
そこでは、とても懐かしい名馬たちが待っていてくれたそうです。
「この“海の向こうの競馬、そしてホースマン”の
第1回で取り上げたニューアプローチに会ってきました」
昨年の英ダービー馬で、秋には愛チャンピオンS、
英チャンピオンSを連勝したニューアプローチは、
2008年欧州最優秀3歳牡馬の栄誉を手土産に、
今春から種牡馬となりました。
ニューアプローチがけい養されているのは、
ニューマーケットにあるダルハムホールスタッド。
あのドバイ首長であり、世界有数の大馬主である
シェイク・モハメド氏が率いるダーレーグループが所有する、
超一流のスタリオンです。
「父が英愛リーディングサイアーに輝いたガリレオ。
さらに母系からは豊かなスピードと仕上がりの早さを受け継いだ
ニューアプローチは、極めて高い期待を懸けられている新種牡馬です。
曽祖父ノーザンダンサー、祖父サドラーズウェルズ、
そして父へと連なる、英愛首位種牡馬の系譜を、
ぜひ受け継いでもらいたいですね」
もう一頭、今年春のニューマーケットには、
合田さんの心を躍らせてくれる名馬がいました。
「ぼくが大好きなラムタラと再会できました。
日本からイギリスに戻ったラムタラは、種牡馬を引退して、
いまは悠々自適な生活を送っています」
「ラムタラも、今年で17歳になりましたが、とても元気そうでしたよ。
なんといっても、ニューマーケットは
馬が余生を送る場所として、最高の環境が整っていますからね」
さて、明日は、ラムタラも含め、
1990年代の英ダービー馬が、
相次いで日本に種牡馬として導入されてきた事情を、
合田さんが語ってくれます。
(第20回に続く)
構成・文/関口隆哉
1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。