現地時間5月2日(日本時間同日深夜)に
ニューマーケット競馬場で行なわれた
第201回 英2000ギニー(G1・8F)は、
M・キネーン騎手が手綱を取る6番人気馬
シーザスターズ(父ケープクロス)が、
1番人気に推されていた2着デリゲーターに1馬身半の差を付け、
鮮やかな勝利を飾りました。
「今年の英3歳牡馬戦線は、
ややレベルが劣る混戦という声も聞かれましたが、
英2000ギニーは地力の高い馬たちが、
その能力を存分に発揮した、なかなかの好レースでした。
今年の3歳牡馬たちのレベルは、
決して低くはなかったということでしょう」
「それにしても」と、合田さんが続けます。
「シーザスターズのお母さんであるアーバンシーは本当に凄い馬です。
今年の3月に惜しくも死亡してしまいましたが、
繁殖として、英、愛ダービーを制したガリレオ、
愛G1馬ブラックサムベラミーなどを出し、
いままたシーザスターズを出した。
さらに、自身が凱旋門賞馬ですから、
まさに世界競馬史に残る“名牝中の名牝”ですよね」
翌3日には、同じニューマーケット競馬場で、
3歳牝馬限定の第196回英1000ギニー(G1・8F)が開催されました。
合田さんの一押しは、
圧倒的1番人気に推された
欧州2歳牝馬王者レインボーヴューでしたが、
大きな見せ場を作れず、
5着に敗退してしまいました。
「返し馬のときから、頭が高く、
突っ立ったようなフォームで走っていた。
“これはマズいなぁ“と思いました。
経験則から言っても、
クラシックレース本番で、こういう返し馬をしているような馬は、
たいてい凡走しているんですよね。
今年の英1000ギニーは
レースレコードとなる1分34秒22という速い時計が出た、
パンパンの良馬場で行なわれたのですが、
レインボーヴューは、緩い馬場で、
パワーが問われるレースが得意なタイプなのでしょう」
勝ったのは、R・ヒルズ騎手が騎乗した、
7番人気の伏兵馬ガナーティ(父ジャイアンツコーズウェイ)。
「叔父に英2冠馬ナシュワンがいる名血馬ではありますが、
これがデビュー3戦目。
しかも初めての芝、初めての重賞レースということもあって、
正直、優勝争いに加わってくるという予測は立てられなかった」
「まあ、1分34秒台前半の勝ちタイムは、
地力の高い馬でなければ出せない時計ではあるけども、
馬場状態や、ペースに恵まれた面もありました。
英2000ギニーより1秒6速かった勝ちタイムを根拠に、
“あるいは牡馬勢より強いのでは“といった
過大な評価をするべきではないとも考えています」
明日は、英2000ギニー、英1000ギニーの結果を受けて、
今後の英クラシック路線の展望を、合田さんに伺ってみます。
(第7回に続く)
構成・文/関口隆哉
1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。