アメリカから大西洋をひとっ飛び、
現地時間5月2日(日本時間3日)、3日(日本時間4日)に、
ともにロンドン郊外ニューマーケット競馬場で行なわれる英2000ギニー、
英1000ギニーの見所や注目馬を合田さんに聞いてみました。
「今年の英クラシック戦線は、牝馬が注目されています。
まず名前が上がるのが、G1フィリーズマイルなど4戦4勝の戦績を残し、
昨年の全欧2歳牝馬王者にも選ばれたレインボーヴュー。
言ってみれば、日本のブエナビスタのような存在で、
英1000ギニーも英オークスも、
“この馬で決まり”というムードが濃厚でした」
「ところが、英1000ギニーの前哨戦であるG3ネルグウィンSで、
とんでもない新星が登場してきた。素晴らしい末脚の切れを見せ、
7馬身差の圧勝を飾ったファンタジアという馬です」
「でも、ここでひとつの問題が浮上してきた。
ファンタジアはフィリーズマイルでレインボーヴューの2着した馬だったのですが、
今年に入って、レインボーヴューの馬主さんである
G・ストローブリッジ氏に購買されていた。
ストローブリッジさんは、英1000ギニーはレインボーヴューにまかせ、
ファンタジアには5月10日に行なわれる
仏1000ギニーを狙わせる意向を表明したのです」
このストローブリッジ氏の使い分けプランは、
馬主としては、当然のこととも思えますが、
イギリスの競馬ファンが、黙ってはいませんでした。
「そりゃあ、ファンとしては、英1000ギニーで、
レインボーヴューとファンタジアの2強対決が、どうしても観たいですよね。
現時点(4月下旬)では、
ストローブリッジさんも、かなり迷っているようです。
ぼくの気持ちも、イギリスの競馬ファンたちと、まったく一緒ですね(笑)」
牡馬たちが争う英2000ギニーの方は、どうなっているのでしょう?
「プレップレースであるG3クレーヴンSで
末脚を爆発させて勝利したデリゲーターが中心になると思います。
父が凱旋門賞馬レイルリンクを出したダンシリで、
英2000ギニーのレース振り次第では、
英ダービーでの期待も大きくなってくるでしょうね」
(第3回に続く)
構成・文/関口隆哉
1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。