「それにしても、エイダン・オブライエン調教師は、
手持ちの駒をすべて英ダービーに出してくるのでしょうかねぇ…」
少し呆れ顔で、こう言う合田さん。
確かに、現地時間6月6日に行なわれる
英ダービー(12F10Yd・エプソム競馬場)には、
現代の欧州ナンバー1調教師と評される
A・オブライエン厩舎の所属馬が多数出走を予定しています。
その筆頭格となるのが、G2愛ダービートライアルSを快勝し、
前売り段階で、1番人気に推されていたフェームアンドグローリー。
さらに、英2000ギニー4着からの
巻き返しが期待されるリップヴァンウィンクル、
有力な前哨戦であるG2ダンテSの勝ち馬ブラッククベアアイランド、
ダンテSで2着したフリーマントル、
G3英ダービートライアルSを制したエージオブアクエリアス、
G3チェスターヴァーズの2着馬マスターオブザホースといった
錚々たる実力馬たちを、A・オブライエン厩舎は擁しているのです。
「オブライエン厩舎の馬たちだけでなく、
英2000ギニーからの2冠達成を狙う
シーザスターズのJ・オックス厩舎、
英2000ギニーで3着したガリレオ産駒
ガンアウラスが所属するJ・ボルジャー厩舎と、
今年の有力馬の大半がアイルランドの厩舎に属している。
イギリスのマントンに本拠地を置くB・ミーハン厩舎所属の
クラウディドハウスといった有力馬もいますが、
イギリス勢、なかでもニューマーケットで
トレーニングしている厩舎の不振は、特に目立っていますね」
“競馬の故郷”とも言われるニューマーケット勢の不振には、
何か理由があるのでしょうか?
「まあ、ニューマーケット300年の歴史からすれば、
現在の不振は、取るに足らないことなのかもしれません。
ただし、これは根拠のあることではないのですが、
従来からのニューマーケットの制度そのものが疲弊をきたしている。
あるいは、その土壌に異変が生じているといったことが、
もしかするとあるのかもしれません」
さて、明日は英ダービーにおける合田さんの
本命馬&期待の伏兵馬を発表します。
お楽しみに!
(第37回に続く)
構成・文/関口隆哉
1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。