「ラスベガスやデイリーレーシングフォームなどの前売りオッズで、
単勝10倍以下の馬が5頭ほど存在している極め付けの大混戦。
それが、今年のケンタッキーダービーの特徴になっているのです!」
現地時間5月2日(日本時間3日)に米ケンタッキー州
チャーチルダウンズ競馬場で行なわれる
第135回ケンタッキーダービーの見所を訪ねたところ、
合田さんは、やや興奮気味にこう語ってくれました。
大混戦とはいえ、有力馬たちのレベルは高い。
そのことが、合田さんの生き生きとした表情の理由となっているようです。
「本来なら中心となるべき、2歳牡馬王者のミッドマンシップや
シャンペンSなど2歳G1を2勝したヴィンヤードヘヴンが
リタイヤしてしまったこともあるのですが、
各地区で行なわれたプレップレース(前哨戦)を
勝ち上がってきた馬たちが、
いずれも好内容を示していることが、
この大混戦の最大の要因になっているわけです」
で、合田さんの一押しは?
「3月下旬に行なわれたG1フロリダダービーを制したクオリティロードが、
一歩リードしていると思います。
フロリダダービーでも、2月に出走したG2フォンテンオブユースSでも、
好位抜け出しの安定した競馬を見せている。
小回りコースの多頭数競馬であるケンタッキーダービーでは、
クオリティロードのレース振りは、大きな武器となるはずです」
「クオリティロードの父は米首位種牡馬に輝いたこともあるイルーシヴクオリティ。
父譲りのたくましい馬体の持ち主であるクオリティロードは、
ルックス的にも名馬の条件を備えていると思いますよ」
クオリティロードの対抗馬となるのは?
「G1サンタアニタダービーを勝って、
西海岸のナンバー1と評価されているパイオニアオブザナイルも、相当に強い馬です。
ただ、この馬はオールウェザーコースでしか競馬をしていない。
ダートでどんな走りをするかは、まさに未知数。
その意味では、期待とともに不安も大きい馬ではあるんです」
「このほかにも、G1ウッドメモリアルSを制したアイウォントリベンジ、
将来性が高いフロリダダービー2着馬ダンカーク、
G2ルイジアナダービーを圧勝したフリーザンファイヤなど、
勝つ可能性を持った馬は数多い。
どの馬が“バラの戴冠”を果たすのか。今年のケンタッキーダービーは、
ファンの胸を熱くさせる素晴らしいレースになりそうです」
明日は、英2000ギニー、英1000ギニーの
プレビューをお届けします。お楽しみに!
(第2回に続く)
構成・文/関口隆哉
1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。