前々日にも少し触れましたが、
昨2008年の英ダービー馬ニューアプローチの父は、
同年の英愛首位種牡馬に輝いたガリレオ。
このガリレオは、2001年の英ダービー馬でもあります。
まさしく昨年のイギリスは、
「英ダービー馬復権の年」であったようにも思えます。
「確かに、リーディングサイアーに輝いたガリレオを筆頭に、
シンダーなど、種牡馬として成功を収めている
英ダービー馬も増えてきました。
でも、その一方で、1996年の勝ち馬であるシャーミットのように、
障害馬専門の種牡馬となっている英ダービー馬もいます。
英ダービー馬だからといって、
種牡馬としての成功が約束されているわけでもないし、
苦戦している英ダービー馬も、少なくはないですからね」
とはいえ、伝統を重んじ、
頑固なところが大いにあるイギリス人のこと。
英ダービーをエプソム競馬場の12F10Ydコースで実施することを、
決して変えはしないでしょう。
ところが、スピード能力優先の現代競馬の実態に即し、
ダービーの距離を短縮してしまった競馬先進国もあります。
2005年から、2400mの施行距離を2100mに縮めたフランスです。
「フランス人というのは、進取の精神に富んでいるというか、
意外と平気で思い切ったことをしてしまう面があるんですよね。
それにしても、長年に渡り同じ距離で行なわれていた
根幹レース中の根幹レースの距離を
アッサリと短縮してしまうフランス人というのは、
やはり相当にスゴい人々ですよね(笑)」
(第22回に続く)
構成・文/関口隆哉
1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。