大きなニュースにはなりませんでしたが、
今年2月、日本の3歳牝馬が海外遠征を敢行し、
素晴らしい成果を収めました。
ともにドバイのナドアルシバ競馬場で行われた
UAE1000ギニー、UAEオークスで
いずれも2着に健闘したアースリヴィングです。
「“3歳になったばかりの牝馬が、
遠いドバイに遠征するのも苛酷なことだし、
使う競走はリステッドレース。
果たして、高いリスクを背負ってまで、
遠征を敢行する意味があるのか!?”
という声もあったことでしょう。
でも、しっかりとした準備をし、
好結果を得たアースリヴィング陣営は、
本当に素晴らしい仕事をしたと思います」
「早い時期の3歳牝馬戦線というのは、
どの国でも層が薄いケースが多いんです。
その意味では、粒が揃ってくる夏場を迎える前に、
勝負を賭けるというのは、効果的な作戦なのかもしれません」
アースリヴィングは2歳11月にデビュー。
東京D1400mの新馬戦を勝った後、
園田競馬場で行われたJpn2兵庫ジュニアグランプリ(D1400m)を使い、
スーニの2着しました。
そして明け3歳になるとUAEで行われるダート戦にターゲットを絞り、
上記の好成績を得たのです。
「ダートを得意とする3歳牝馬、しかも冬場の時期には、
日本で目標とするレースが、
ほとんどないというのが実情ではないでしょうか。
であるならば、ノングレードレースとはいえ、
世界的な注目度が高いUAEの
3歳牝馬クラシックに参戦するのは、
アースリヴィングの将来を考えた上でも、
よい選択だったと思います」
「いずれにしても、自身の特性を活かした、
固定観念にとらわれないアースリヴィングのような海外遠征は、
今後増えてくるでしょうし、そうなることを願っています」
明日からは、再び海外の競馬に話題を移し、
世界的大馬主たちのスケールの大きな話をお届けします。
お楽しみに!
(第25回に続く)
構成・文/関口隆哉
1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。