「イギリスの馬主というと、ロイヤルファミリーを筆頭に、
ダビストック侯などの貴族たちが思い浮かびますが、
意外と目立っているのが、サッカー選手たちなんです」
「たとえば、マンチェスターユナイテッドの
主力選手であるウェイン・ルーニー。
それから、“ワンダーボーイ”と呼ばれて
一大センセーションを巻き起こした
マイケル・オーウェンなどが馬主として知られています。
特に、オーウェンの競馬好きは有名で、
イングランド北西部のチェシャーという町に、
自らの厩舎を持っています」
ちなみに、マイケル・オーウェンは馬券にも目がなく、
すでに10億円ほどのマイナスを記録しているという噂もあります。
合田さんが続けます。
「サッカー関係者の馬主で、大きな成果を収めているのが、
ルーニー選手も所属するマンチェスターユナイテッドを率いる名将、
アレックス・ファーガソン監督です」
「昨日お話した、クールモアスタッドの総帥
ジョン・マグナー氏の妻スーザン・マグナー氏と
ファーガソン監督が共同所有していたのが、
G1戦7連勝という金字塔を打ち建てたロックオブジブラルタル。
あの希代の名馬のオーナーになれたわけですから、
ファーガソン監督の馬主運も、
相当に凄いものがありますよね。
まあ、ロックオブジブラルタルの引退に際して、
ジョン・マグナー氏とファーガソン監督の間に
トラブルが生じてしまったことは残念でしたが…」
今でこそ“Sir”の称号が与えられているファーガソン監督ですが、
若いときには金銭的な苦労も多く抱えていたそうですし、
ルーニー選手も、決して裕福な家庭の出身ではありませんでした。
彼らにとって、競走馬のオーナーとなることは、
まさしく「人生における成功の証」だったのかもしれません。
さて、明日は格付けがキッチリと決まっている
アメリカの競馬場の話です。お楽しみに!
(第29回に続く)
構成・文/関口隆哉
1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。