6月7日に行なわれた安田記念を連覇し、
計6つ目のG1タイトルを手に入れた、
日本の現役最強古牝馬ウオッカ。
「この安田記念のウオッカは、
世界中のどんなに強い馬が出走していたとしても、
勝利を譲らなかったと思いますよ」
合田さんは、力強く、そう断言します。
「それにしても、こんなに強い馬が、
どうしてドバイに遠征すると勝てないのか?
相当に不思議ですよね。
聞いたところによると、
陣営も敗因を掴み切れてはいないようです。
もしかすると、ウオッカはとても賢い馬なので、
環境の変化に反応して、
走りをセーブしてしまうようなことがあるのかもしれません」
「となれば、ウオッカの身近にいる人たちが、噛んで含めるように
“ここは日本ではないけど、思い切って走っても大丈夫だから”
とウオッカに言い聞かせ続ければ、
海外でも実力が発揮できるかもしれませんね」
いささか“暴走モード”に突入してしまった合田さんでしたが、
改めて、ウオッカに向いた海外のレースを聞いてみました。
「マイラーとしての資質の高さを考えれば、
9月にアスコット競馬場で行なわれるQエリザベス二世S、
10月にニューマーケット競馬場を舞台とする
サンチャリオットSといったG1競走はどうでしょう。
2000m戦ですが、ロンシャンウィークエンドで
凱旋門賞の直前に行われるオペラ賞も
オススメのG1レースとなります」
「欧州のG1タイトルを手土産に、イギリスで繁殖牝馬入りする。
そして、ガリレオあたりを種付けして、産駒は日本で走る。
そんなウオッカの将来というのも、
ファンの心を熱くさせてくれるのではないでしょうか」
(第48回に続く)
構成・文/関口隆哉
1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。