今日からは、アメリカからイギリスに場所を移し、
競馬発祥の地のクラシックレースや、
それを行なう競馬場について合田さんにお話を伺っていきます。
まずは、世界中で行なわれている
ダービー競走の元祖となっている、英ダービーについて、
ちょっとばかりぶっちゃけた、こんな質問をしてみました。
英ダービーは、
競馬ファンなら一度はナマで観ておくべきレースでしょうか?
「まあ、国名を付けずに、
単なる“Derby Stakes”で通じてしまう伝統の一戦ですし、
一度はナマで、その雰囲気を味わいたい競走であるこことは、
間違いのないところでしょう」
さらに、合田さんは、
ケンタッキーダービーデーとの雰囲気の違いを指摘してくれました。
「ケンタッキーダービー当日のチャーチルダウンズ競馬場が、
市民のお祭り的な、庶民的な雰囲気だとしたら、
エプソムダービー当日のエプソム競馬場は、
それとは対照的なノーブルな空気に包まれていますね」
「出走馬の関係者は、皆、トップハットを被り、
テイルスーツを着てくる。
こういった正装をするのは、イギリス王室が主催する、
“ロイヤルアスコットレースミーティング”以外では、
このエプソムダービー当日だけです。
同じエプソム競馬場で行なわれる英オークスのときには、
トップハットとテイルスーツは身に付けませんからね」
ちなみに、英ダービー、英オークスが行なわれる
6月上旬のエプソム開催では、
同じ12F10Ydの距離で争われる
古馬G1コロネーションCも行なわれます。
やはり競馬ファンであれば、
イギリス競馬の年間を通してのハイライトとも言える、
この時期のエプソム競馬場には、
足を運んでおいて損はないようです。
なお、エプソム競馬場は、
ロンドンから南に17マイル下ったところにあり、
東京の銀座から府中にある東京競馬場に行くくらいの距離感
と言えば分かりやすいかもしれません。
明日は、エプソムダービーの施行距離である
12F10Ydという中途半端な数字から、
イギリス競馬の本質というものを考えていきます。
お楽しみに!
(第15回に続く)
構成・文/関口隆哉
1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。