「世界最大の競馬の町」とも呼ばれるニューマーケット。
ここを訪れたのなら、競馬場だけでなく、
それに隣接する広大な調教場も、ぜひ見てきて欲しいと、
合田さんは訴えます。
「ジョッキークラブが管理するヒース調教場は、
2800エーカーという、とてつもない広さを誇っているのですが、
これだけの広さがあればこその、
日本のトレセンでは考えられない贅沢が可能になってくるわけです」
ちなみに、元来「ヒース = Heath」とは、
「荒野」を意味する英単語だそうです。
「もちろん、ジョッキークラブとしては、
最高の路面状態のなかで、馬たちの調教を行いたい。
そこで、
“朝○時~△時までは、この場所を使え”
といった指示が書かれた立て札が打たれるのです」
「通常、調教に使用する路面の範囲は、
一日に3度移動するのですが、一年単位で見てみると、
ちょうどヒース調教場の端から端まで動くことになる」
一応、確認のため、
「ということは、路面の立場からすれば、
一年に1時間ちょっとだけ、
自分のすぐ上を馬たちが走っていくことになるわけですね」と、
合田さんに問いかけてみました。
「ウ~ン、“路面の立場”という例えは、
ちょっと分かりにくいかと思いますが(笑)、
要するに、それだけヒース調教場が広大で、
馬の立場を尊重したトレーニングが
日々行なわれているということです。
その最高の環境を利用した馬たちの調教風景は、
とにかく一度ナマで観てみることをオススメします!
サラブレッドと人間の関係性という視点からも、
得るものは、少なくないと思いますよ」
(第19回に続く)
構成・文/関口隆哉
1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。