「海外のビックレースの馬券が発売されれば、
日本の競馬ファンも、真剣に外国馬や騎手のことを知ろうとする。
そのなかで、好きな馬や、
お気に入りのジョッキーが出てくるケースも十分に考えられるでしよう」
「そして今度は、馬券検討でお馴染みになった
外国馬やジョッキーがジャパンCにやって来る。
当然、ジャパンCの盛り上がりも、大きくなりますよね。
こういった相乗効果は、競馬界全体にプラスに働くはずだし、
日本馬の海外遠征を促進することにも繫がっていくのではないでしょうか」
「特に、香港インターナショナルデーは、
日本のレースが終わった直後にレースが始まるタイムスケジュールですし、
日本馬が参戦する競走も多い。
競馬場やWINSで、そのまま馬券を売り、レースを実況放送すれば、
この上ないファンサービスにもなりますよね。
香港に関しては、今年の暮れから、
馬券発売を始めてもらいたいくらいです(笑)」
さらに、合田さんの「日本馬海外遠征促進プラン」は続きます。
「たとえば、イギリスのニューマーケットやフランスのシャンティに
JRAのサテライト厩舎を置くのもいいアイデアだと思います。
超一流クラスでなくとも、欧州の競馬に向きそうな馬を連れて行って、
そこでひと夏を過ごす。
厩舎スタッフにとっても、間違いなく貴重な経験になるでしょうし、
たくさんの馬がサテライト厩舎を利用するようになれば、
輸送費なども、多少は軽減されるはずです」
「経験を積み重ねていけば、
欧州の競馬に向いた日本馬のタイプもはっきりと掴めてくる。
日本ではパッとしないけど、
欧州なら輝ける馬も、きっといるはずです。
競走馬の選択肢を拡げることで、日本競馬全体が活気づく。
そんな風になると、本当にうれしいですよね」
さて、パート1も含め、計81回に渡ってお届けした
「海の向こうの競馬、そしてホースマン」ですが、
今回で一応のピリオドを打ちます。
もちろん、合田直弘さんには、
今後も何かにつけてご登場を願う予定です。
日本全国の「ナオヒロニスト」の皆様、
是非とも期待してお待ちくださいませ!
(完)
構成・文/関口隆哉
1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。