「まさに完璧な競馬! 着差は1馬身4分の3差でしたが、
内容的には、シーザスターズの楽勝でしたね」
1989年ナシュワン以来の英2000ギニー、
英ダービー連覇を果たしたシーザスターズのレース振りは、
合田さんが絶賛するものでした。
「前半は、少々掛かり気味かとも見えたのですが、
上り坂に差しかかったあたりから、しっかり折り合えた。
緩い流れからの瞬発力勝負というのも、
やや距離に不安があったシーザスターズにとっては向きましたね。
鞍上M・キネーン騎手の手綱さばきも見事だったと思います」
「もうひとつ、5月末から6月にかけて、
イギリス各地は天候が悪い日が続いたのですが、
6月に入って、エプソム競馬場の周辺だけは、
天気が良かったのですね。
切れ味が活かせる良馬場になったことは、
シーザスターズにとって、とてもありがたかった。
20年振りの2冠馬誕生に、天も後押しした感じです」
2着に入った1番人気馬フェイムアンドグローリーを筆頭に、
計6頭の所属馬を出走させてきたA・オブライエン厩舎ですが、
打倒シーザスターズはなりませんでした。
「実は、A・オブライエン厩舎勢には、
ゴールデンソード(5着)というラビット役の馬がいたのですが、
いまひとつ役に立たなかった(笑)。
本当は、もっと厳しい流れにして、
2着フェームアンドグローリーや3着したマスターオブホースに向いた、
スタミナが活きるタフな競馬にしたかったはずなのですが、
実際は、シーザスターズが得意な瞬発力勝負になってしまった…」
さて、英2冠馬に輝いたシーザスターズの今後については、
日を改めて、合田さんに語ってもらいます。
明日は現地時間6月7日(日本時間8日未明)に
シャンティ競馬場で行われた仏ダービーのレース評をお届けします。
(第42回に続く)
構成・文/関口隆哉
1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。