たとえば、ドバイワールドCデーや香港インターナショナルデーといった、
主催者が輸送費、滞在費などをまかなってくれる招待レースは別にして、
ここ数年、日本馬の海外遠征は、全体的に下火になっている気がします。
また成績の面でも、実力馬が期待を裏切る着順に終わってしまうケースが目立っています。
合田さんは、こう原因を分析します。
「ひとつには、海外レースの賞金の安さがあるでしょう。
招待レースでなければ、輸送費ひとつとっても莫大な経費がかかる。
“名誉だけを取りにいく”というのは、
現実には、なかなか難しいのでしょうね」
「もうひとつ、
“あのディープインパクトでも勝てなかったのだから…” という気後れが、
関係者の間に蔓延しているところもあるのかもしれません」
しかし、日本競馬を世界中にアピールするためにも、
また日本競馬のさらなる発展のためにも、
海外のビッグレースへの積極的なチャレンジは、
避けては通れないことであるはずです。
「そこでどうでしょう。
まずはWINSや競馬場といったJRAの施設を使って、
海外のビッグレースの馬券を発売するというのは…」
「もちろん、新たな法律が必要になりますが、
技術面や設備面から言えば、
海外レースの馬券発売は、それほど難しくはないと思います。
実際、ディープインパクトが凱旋門賞に出走したとき、
パブリックビューイングの会場となったWINS後楽園には、
たくさんのファンが詰め掛けていた。
もしも海外の競馬関係者が、あの場所にいたら、
“せっかく設備も整っているのに、なんで馬券を売らないのだろう?” と、
とても奇異に感じたのではないでしょうか(笑)」
「単に売り上げを増やすということだけでなく、
海外のビックレースの馬券を日本で売ることには
メリットが大きい!」と合田さんは主張します。
ということで、この話の続きはまた明日。
お楽しみに!
(第50回に続く)
構成・文/関口隆哉
1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。