アラビア語でムハマンド・ビン=ラシード・アール=マクトゥーム氏。
おそらく、日本の競馬ファンにとっては、
英語読みしたシェイク・モハメド氏といった方が分かりやすいことでしょう。
シェイク・モハメド氏は、1949年生まれ。
UAE(アラブ首長国連邦)の中核を成すドバイ首長国の首長であり、
UAEの副大統領、首相を兼務するVIP中のVIP、
加えてオイルマネーを背景としたスーパー大金持ちでもあるのです。
「シェイク・モハメド氏といえば、チーム・ゴドルフィンの総帥として、
日本の競馬ファンにもよく知られた存在かと思います。
主な所有馬にドバイミレニアム、ファンタスティックライト、
サキー、エレクトロキューショニストなど。
そして主戦騎手は、あの名手ランフランコ・デットーリ。
またラムタラを管理したことで有名な
サイド・ビン・スルール調教師とは専属契約を結んでいます」
合田さんは、アメリカのケンタッキー州キーンランドで行われる
セリ市で味わった体験談を披露してくれました。
「キーンランドセール会場の隣がブルーグラス空港なのですけど、
そこにシェイク・モハメド氏と、
その兄であるマクトゥーム氏(注:2006年に死去)の
プライベートジェット(PJ)が、
2機並んでデ~ンと置いてあるわけです」
「PJを保有している馬主さんは少なくありませんが、
シェイク・モハメド氏たちのPJは、なんとジャンボジェット機。
セリに参加する関係者としては、
“あんなジャンボ機を持っている超大金持ちと、
これから戦わなければならないのか”と、
とてつもなく憂鬱な気分になってしまう。
まあ、シェイク・モハメド氏の超豪華PJは、
そんな無言の圧力をセリ市でのライバルたちにかける効果も、
計算されているのかもしれません」
あくまでも噂ですが、
シェイク・モハメド氏のプライベートジェットには、
ボーリングレーンが装備されているとか。
雲の上で出すストライクは、
さぞかし気持ちのいいものでしょう!
(第26回に続く)
構成・文/関口隆哉
1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。