2008年全欧年度代表馬ザルカヴァ、
最優秀3歳牡馬ニューアプローチといった大駒が引退してしまった、
今年の欧州古馬中距離戦線。
当初はレベルの低下も心配されましたが、
どうやらそれは杞憂に終わりそうです。
「さすがに欧州の中距離路線は層が厚い!
ほっておいても、いい馬がたくさん登場してきますよね(笑)」
そう言う合田さんの一押しを聞いてみました。
「今春、ニューマーケットを訪れたとき、
ルカ・クマーニ調教師が絶賛していたのが、
吉田照哉さんの所有馬であるチマデトリオンフ。
昨年の伊ダービー馬で、
今年の1月にイタリアからクマーニ厩舎に移籍してくるという、
かつてのファルブラヴと同じパターンを踏襲した馬なのですが、
5月のG3ブリカディアジェラードSでは、
昨年のブリーダーズCターフを制したコンデュイトを降して、
見事な勝利を飾っています」
「この勝利で、チマデトリオンフは、
凱旋門賞の有力候補の一頭と目されるようになったのですが、
今後の欧州中距離戦線で好成績を収めて、
ぜひジャパンCには、外国馬の目玉として参戦して欲しいですね」
「日本関係ということでは、
ファレノプシスの半弟である
種牡馬サンデーブレイク初のG1勝ち産駒となった
ネヴァーオンサンデーも注目です。
フォーティナイナー直仔で、
アメリカで種牡馬入りしたサンデーブレイク産駒が
仏G1イスパーン賞馬を出したというのも、いい意味での驚きでしたが、
ネヴァーオンサンデーには、
まだまだ強くなる伸び白のようなものも強く感じています」
このほか、日本に導入されたチチカステナンゴ産駒で、
4月のG1ガネー賞で復活の勝利を記録した、
昨年の仏ダービー馬ヴィジオンデタ、
5月下旬のG1タタソールズゴールドCを制した
カジュアルコンクエストも注目の存在だと合田さんは指摘します。
「ただ、古馬陣も充実しているのですが、
現時点での凱旋門賞のオッズでは、
英2冠馬シーザスターズが断然の1番人気。
どんなローテーションを採るにせよ、
この馬を中心に、今年のヨーロッパ競馬は
展開していくことになりそうです」
(第47回に続く)
構成・文/関口隆哉
1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。