シャンティ競馬場2100mコースを舞台にして行なわれた仏ダービーは、
現地仏で6番人気に推されていた仏2000ギニー2着馬ルアーヴルが優勝。
合田さんの一押しだった、カットラスベイは直前に出走を回避し、
戦わずして、仏ダービー馬となる資格を失ってしまいました。
「カットラスベイの出走回避は残念でしたが、
結果的には、仏2000ギニーのレベルが、
そのほかのプレップレースより高かったことを
証明する一戦となりました」
「ルアーヴルは、いわゆる
“勝っても、勝っても人気にならない“タイプ(笑)。
仏2000ギニーを内容の濃い競馬で2着していた割には、
今回も人気になっていませんでしたね」
「管理するルジェ調教師自身も認めていたことなのですが、
仏2000ギニーから500mの距離延長をどうこなすかが、
ルアーヴルの最大の課題でした。
実際、日本でもお馴染みのC・ルメ―ル騎手も、
道中はジッと内で我慢して、直線勝負に賭ける、
距離不安を意識した競走に徹しました。
そして、陣営の作戦は見事に的中し、
ルアーヴルは完勝で、仏ダービーのタイトルを手に入れたわけです」
一方、仏2000ギニーを制し、
1番人気に推されていたシルヴァーフロストは、
直線で伸びを欠き、6着に敗退しました。
「シルヴァーフロストの敗因は距離適性に尽きるでしょう。
ただし、レベルの高かった仏2000ギニーの勝ち馬ですし、
今後はマイル戦線で、相当な活躍を示してくれるはずです」
「凱旋門賞を目指す路線ということでは、
2番人気で4着したベーシュタムに注目。
まだデビューして2カ月程度のキャリアの浅い馬で、
伸び白は相当に大きそうです」
さて、仏ダービー馬ルアーヴルの今後の見通しは、
どのようなものなのでしょうか?
「まだ陣営からの発表はないのですが、
おそらくマイル~2000m戦が
ターゲットとなってくるのではないでしょうか。
そうなると、次走は7月にシャンティ競馬場で行われる
マイルG1ジャンプラ賞となるかもしれません。
まあ、凱旋門賞は、さすがに距離が長過ぎるとは思いますが…」
明日からは、夏から秋にかけての
欧米競馬の見所、注目馬を合田さんに伺っていきます。
お楽しみに!
(第43回に続く)
構成・文/関口隆哉
1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。