シーザスターズの母アーバンシーは、1993年の凱旋門賞馬。
母仔で、この凱旋門賞を制したのは、
デトロワ(1980年) - カーネギー(1994年)に続く、
史上2組目の快挙となりました。
この母仔凱旋門賞制覇以外にも、
シーザスターズは、いくつかの歴史的偉業を達成しています。
史上初となる、英2000ギニー、英ダービー、凱旋門賞の同一年制覇、
1989年のナシュワン以来となる英二冠達成、
2001年の兄ガリレオに続く、英ダービー兄弟制覇・・・。
凱旋門賞前、合田さんは、
「ここ10年では、1999年の凱旋門賞を勝ったモンジューと比肩し得る名馬」
とシーザスターズを評価していましたが、
凱旋門賞制覇後は、どう考えているのかを伺ってみました。
「完全にモンジューを上回る評価を獲得したと言っていいでしょう。
現地でも、モンジューを飛び越えて、
ニジンスキー、ミルリーフ、ダンシングブレーヴといった
“伝説の馬たち”との比較で、
シーザスターズを語っている競馬関係者が大多数を占めています」
「まあ、“伝説の馬たち”と
シーザスターズのどちらが強いか?
という質問に対する答えは、
“大鵬と北の湖のどちらか強いか”
という質問に対する答えと同じように、
その人の生まれ育った時代とか、
個人的な好みが強く反映されるものだとは思います。
ただ、英三冠馬ニジンスキーは凱旋門賞で敗れ、
ミルリーフは英2000ギニーで
ブリガディアジェラートに負けた。
そして、ダンシングブレーヴは
英ダービーを取りこぼしています。
これら“伝説の馬“たちが敗れた競走を
すべて制したシーザスターズには、
極めて高い歴史的な評価を
与えてもいいのではないでしょうか」
凱旋門賞前は、ブリーダーズCクラシックへの参戦も噂されたシーザスターズですが、
凱旋門制覇後、陣営からは
「成すべきことは、これですべて成し遂げた」
というコメントも出ているようです。
いずれにしても、この2009年は、
ヨーロッパに不世出の名馬シーザスターズが登場した年と、
永く世界の競馬ファンに語り継がれることになるでしょう。
さて、『海の向こうの競馬、そしてホースマン3』は、今回が最終回です。
11月初旬開始予定の『海の向こうの競馬、そしてホースマン4』では、
現地時間11月6日、7日に米サンタアニタ競馬場で開催される
ブリーダーズCのレースプレヴュー、レース評をお届けする予定です。
お楽しみに!
(完)
構成・文/関口隆哉
1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。