合田直弘氏インタビュー 海の向こうの競馬3 そしてホースマン

現地時間、10月3日、4日に開催される“ロンシャンウィークエンド”。地元フランスはもとより、ヨーロッパの秋競馬を締めくくるこの一大競馬イベントでは、凱旋門賞、オペラ賞、ジャンリュックラガルデール賞、フォレ賞など、7つものGIレースと4つのGIIレースが行われるのです。
第1回
ヨーロッパ競馬の"特別な週末"がやって来る!

10月第1週の土曜日と日曜日、
フランスの首都パリの西部に位置するロンシャン競馬場では、
ヨーロッパきっての一大競馬イベント、
ロンシャンウィークエンドが開催されます。
( “アークウィークエンド” という呼ばれ方もします)
メーンイベントである凱旋門賞を筆頭に、
2000mで争われるオペラ賞、短距離戦のアベイドロンシャン賞、
1400m戦のフォレ賞、距離4000mのマラソン競走カドラン賞、
2歳馬限定戦のジャンリュックラガルデール賞、
2歳牝馬が争うマルセルブサック賞と、
計7つものG1レースと4つのG2競走が行われる
ロンシャンウィークエンドは、
アメリカ競馬の祭典ブリーダーズCデーの欧州版として、
2000年から開催(フォレ賞が加わったのは2005年から)されています。

合田さんが、この大イベントのステータスを、
解説してくれました。

「ヨーロッパ競馬の一年のカレンダーのなかで、
  アークウィークエンドが、
  非常に重要な週末となっていることは間違いのないところです。
  言い換えれば、欧州のホースマンであれば、
  10月の第1週はロンシャンに来ていなければならない、
  くらいの感覚になっているかもしれませんね」

「スケジュール的なことで言えば、
  9月下旬に始まるアイルランドのゴフスミリオンセールから、
  アークウィークエンドを経て、
  タタソールのセリ市へ出向くというのが、
  ヨーロッパの競馬関係者の一般的な日程となっています」

ロンシャンウィークエンドが一大競馬イベントとして定着、
発展してきたことは、世界の競馬界にとっても朗報と評価できることですが、
ちょっと割りを食っている日本のG1競走もあります。

「かつて日本馬のアグネスアールドが優勝した、
  アベイドロンシャン賞とスプリンターズSの日程が、
  完全にバッティングするわけです。
  まあ、もともとは日本のスプリンターズSが
  年末から秋口に開催時期を移したせいでもあるのですが、
  欧州短距離戦線のトップクラスが、スプリンターズSに参戦するのは、
  スケジュール的に、とても難しいのは事実ですね」

明日は、合田さんも大注目、
G1フォレ賞に参戦を予定している、
「欧州マイル女王」ゴルディコヴァの話題をお届けします。
お楽しみに!


(明日更新の第2回に続く)

構成・文/関口隆哉

1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。