ヨーロッパの強豪19頭がビッグタイトル獲得を目指したG1凱旋門賞(芝2400m)は、
直線で馬群を割って先頭に踊り出た1番人気馬シーザスターズ(父ケープクロス)が、
外から追い込んできた2着ユームザインに2馬身差を付けて勝利しました。
「シーザスターズの勝利は、
まさしく地力の違いを見せつけたものでしたが、
前半のレース運びに関しては、
“大いに問題アリ!”でしたよね(笑)」
やや苦笑混じりに、そう言った合田さんが続けます。
「走りのリズムが悪く、行きたがってしょうがないのを、
鞍上マイケル・キネーン騎手が必死に抑え込んでいました。
それに、他馬のシーザスターズ包囲網も厳しく、
入れ替わり立ち替わり、いろいろな馬が、
シーザスターズをコスリに来ていました(笑)。
まあ、そんな状況のなか、
カリカリしているシーザスターズをなだめながら、
内ラチ沿いでじっと我慢を通した
M・キネーン騎手の騎乗振りは、
本当に素晴らしかったですね」
「シーザスターズが直線で抜け出してくるときも、
スペースはあまり空いていませんでした。
並の馬なら、あの位置から馬群を割って出ることは
至難の業だったでしょう。
着差は2馬身でしたが、他馬との実力的な差は、
相当に大きかったと思いますよ」
アイルランドのJ・オックス厩舎に所属する3歳牡馬シーザスターズは、
これで通算成績を9戦8勝としました。
今季は、英2000ギニー、英ダービー、エクリプスS、
英インターナショナルS、愛チャンピオンS、そしてこの凱旋門賞と、
G1レースばかりを6連勝。
文句なしの戦績で、「歴史的名馬」の仲間入りを果たしました。
明日掲載の最終回では、シーザスターズと
競馬史に残る歴代の大物競走馬たちとの比較を、合田さんに伺ってみます。
(明日更新の最終回に続く)
構成・文/関口隆哉
1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。