合田直弘氏インタビュー 海の向こうの競馬3 そしてホースマン

現地時間、10月3日、4日に開催される“ロンシャンウィークエンド”。地元フランスはもとより、ヨーロッパの秋競馬を締めくくるこの一大競馬イベントでは、凱旋門賞、オペラ賞、ジャンリュックラガルデール賞、フォレ賞など、7つものGIレースと4つのGIIレースが行われるのです。
第9回
シーザスターズが凱旋門賞でG1・6連勝を達成!

ヨーロッパの強豪19頭がビッグタイトル獲得を目指したG1凱旋門賞(芝2400m)は、
直線で馬群を割って先頭に踊り出た1番人気馬シーザスターズ(父ケープクロス)が、
外から追い込んできた2着ユームザインに2馬身差を付けて勝利しました。

「シーザスターズの勝利は、
  まさしく地力の違いを見せつけたものでしたが、
  前半のレース運びに関しては、
  “大いに問題アリ!”でしたよね(笑)」

やや苦笑混じりに、そう言った合田さんが続けます。

「走りのリズムが悪く、行きたがってしょうがないのを、
  鞍上マイケル・キネーン騎手が必死に抑え込んでいました。
  それに、他馬のシーザスターズ包囲網も厳しく、
  入れ替わり立ち替わり、いろいろな馬が、
  シーザスターズをコスリに来ていました(笑)。
  まあ、そんな状況のなか、
  カリカリしているシーザスターズをなだめながら、
  内ラチ沿いでじっと我慢を通した
  M・キネーン騎手の騎乗振りは、
  本当に素晴らしかったですね」

「シーザスターズが直線で抜け出してくるときも、
  スペースはあまり空いていませんでした。
  並の馬なら、あの位置から馬群を割って出ることは
  至難の業だったでしょう。
  着差は2馬身でしたが、他馬との実力的な差は、
  相当に大きかったと思いますよ」

アイルランドのJ・オックス厩舎に所属する3歳牡馬シーザスターズは、
これで通算成績を9戦8勝としました。
今季は、英2000ギニー、英ダービー、エクリプスS、
英インターナショナルS、愛チャンピオンS、そしてこの凱旋門賞と、
G1レースばかりを6連勝。
文句なしの戦績で、「歴史的名馬」の仲間入りを果たしました。
明日掲載の最終回では、シーザスターズと
競馬史に残る歴代の大物競走馬たちとの比較を、合田さんに伺ってみます。

(明日更新の最終回に続く)

構成・文/関口隆哉

1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。