ロンシャンウィークエンドには、
日本にはない条件で争われるG1競走があります。
距離4000mのスーパー長距離戦カドラン賞(現地時間10月3日)です。
「日本では、あまり話題になりませんが、
ヨーロッパのステイヤー路線は、
ファンの人気がとても高いカテゴリーなんですよ!」
やや力を込めて、そう言い切った合田さんが続けます。
「この路線を歩む馬は、ファンの認知度が高い、
ベテラン競走馬が多いというのが、人気の要因となっています。
お馴染みの馬が集って、味わい深い競馬を繰り広げる。
まあ、この裏には、
欧州でもステイヤータイプの競走馬が種牡馬となるのは、かなり難しく、
現役を続けざるを得ないという事情も絡んではいるのですが…」
日本の競馬に例えれば、
高齢馬の活躍馬が多い古馬ダート重賞戦線と似ているのが、
欧州ステイヤー戦線だと、合田さんは指摘します。
では、今年のカドラン賞の見所は?
「日本のダート重賞戦線にも同じことが言えると思いますが、
春からの、あるいは前年からの流れを追っていくと、
カドラン賞への興味も、一層大きくなるのではないでしょうか。
イギリスで言えば、距離20Fで争われるG1ゴールドC、
距離18FのG2ドンカスターC、直近のレースである
距離14FのG1愛セントレジャーなどの結果をおさらいしておくことを、
まずオススメしておきます」
ちなみに、今年のG1ゴールドCは、
8歳の古豪イエーツ(父サドラーズウェルズ)が、
このレース4連覇の大偉業を達成。
9月12日に行なわれたG1愛セントレジャーでは、
そのイエーツが8着に沈み、
ガリレオ産駒の4歳馬アランディが初重賞制覇を成し遂げ、
モンジュー産駒の4歳牝馬クロワンスが半馬身差の2着と、
ステイヤー路線の新鋭たちが気を吐きました。
「現時点では、出否未定ではありますが、
カドラン賞最大の注目馬は、
愛セントレジャーでは不良馬場に泣いた
イエーツということになるでしょう。
カドラン賞は一昨年が3着、昨年が5着と苦杯を嘗めていますが、
自身8つ目のG1勝利を、ロンシャンの地で、ぜひ飾って欲しいですね」
いよいよ明日からは、
メーンエベント凱旋門賞のプレビューに突入です。
乞うご期待!
(明日更新の第4回に続く)
構成・文/関口隆哉
1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。