日本の牝馬として初のジャパンCホースとなった女傑ウオッカ。
これで、シンボリルドルフ、テイエムオペラオー、
ディープインパクトに並ぶ、7つ目の芝G1タイトル獲得となりました。
「ウオッカは、3歳夏以降、抜群の競走能力とともに、
牝馬らしい難しさを見せ続けていた馬でしたが、
今回のジャパンCでは、乗り替わりが精神的な面で功を奏したと思います」
こう切り出した合田さんが続けます。
「これは、武豊騎手とルメール騎手の比較云々ではなく、
鞍上が替わり、背中の感触が変化したことにウオッカが気を取られ、
いい意味で、道中リラックスして走れることに繋がった。
だからこそ、ゴーサインが出たときに、
あれだけの素晴らしい瞬発力が使えたのだと思います」
「それにしても、あのウオッカの抜け出すときの脚は、
超一流馬ならではの凄いものでしたね」
ウオッカを追い詰めた2着オーケンブルースリについて、
合田さんは、「今後の成長を長い目で見て行きたいタイプ」
と評しました。
「今回のジャパンCに関しては、体調の良さも目立っていましたね。
まだまだキャリアの浅い馬ですが、
海外のビッグレースで好勝負できる素質は持っていると思います」
戦前、合田さんが対抗(「○」)評価に推していた
3歳牝馬レッドディザイアは、3着に健闘しました。
「3着に敗れたとはいえ、3歳牝馬としては、
実にアッパレな競馬をしてくれました。
ゴール前で使った脚の鋭さは、出走馬のなかでも
ナンバー1だったのではないでしょうか」
「来年4歳となるレッドディザイアには、
ぜひ欧州のG1レースをターゲットにして欲しい。
できれば、エルコンドルパサーのように欧州に長期滞在して、
じっくりとレースを使っていければ理想的でしょう。
このコラムでも繰り返し言及していますが、
ヨーロッパは牝馬限定のG1レースがとても充実している。
レッドディザイアの力をもってすれば、
複数のビッグタイトルにも十分手が届くと考えています!」
明日からは、12月6日(日)に阪神競馬場D1800mで争われる
ジャパンCダートのプレビューが始まります。
お楽しみに!
(明日更新の第8回に続く)
構成・文/関口隆哉
1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。