イギリスのR・ハロン厩舎所属のシンティロ(牡4歳)は、
2歳時にG1伊グランクリテウム(1600m)、
そして4歳となった今年3月にG3ウインターダービー(10F)、
5月にG2シャンティ大賞(2400m)と、
イタリア、イギリス、フランスの欧州3カ国で重賞勝ちを記録しています。
合田さんは、シンティロをこう評価してくれました。
「世界を股にかけて大活躍した
父ファンタスティックライトの遺伝子を
確実に受け継いだ馬ですね。
遠征競馬にも慣れていますから、
環境の変化に途惑うこともないでしょう。
それに、欧州でのシンティロの評価は、
“渋った馬場が苦手” ですから、
東京の硬い馬場も向いていると思います」
「とはいえ、同じイギリス馬のコンデュイットと比べると、
明らかに格下であることも確かです。
おそらく、コンデュイットとシンティロの間には、
10馬身ほどの能力差があると、
母国イギリスの競馬関係者は見ているはずです。
したがって、シンティロが連に絡むようなケースは、
ほとんど考えなくていいでしょうね」
さて、イギリスから来日したもう一頭が、
今年のジャパンCの目玉外国馬と評されているコンデュイットです。
「血統を見ると、
父系がダラカニ~ダルシャーンへと遡る系統で、
母父がサドラーズウェルズという、
いかにも重厚なヨーロピアンタイプですし、
英セントレジャーや “Kジョージ” といった、
スタミナと底力が問われるG1戦のウイナーでもある。
したがってコンデュイットは、
ジャパンC向きの素軽さやスピードには欠けているはずと見る、
日本の競馬ファンも多いかもしれません」
「でも、血統表や競走成績から受ける印象と、
その実像がまったく違うのが、
このコンデュイットという超一流馬なのです」
「2分23秒7という時計の速い決着となった
前走のG1ブリーダーズCターフでも証明されましたが、
コンデュイットが本当に得意としているのは、
瞬発力が活かせる硬い馬場です。
この馬が、一線級に踊り出てきた
3歳6月のG2キングエドワードⅦ世S(カンバノロジストの2着)も、
“ロイヤルアスコット開催には相応しくないほどの硬い馬場”(笑)と、
イギリスの競馬関係者に言われているなかで行なわれたレースでした」
明日は、コンデュイットがジャパンCで、どんな走りを示してくれるかを、
さらに掘り下げて探っていきます。お楽しみに!
(明日更新の第4回に続く)
構成・文/関口隆哉
1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。