合田直弘氏インタビュー 海の向こうの競馬5 そしてホースマン

海外からトップホースを招いて行われるジャパンC&ジャパンCダートが11月29日(日)東京競馬場、12月6日(日)阪神競馬場で開催されます。
最終回
米のダート重賞のようだったエスポワールシチーの勝ちっ振り!

12月6日(日)に阪神競馬場で行なわれた
第10回ジャパンCダート(G1・D1800m)は、
日本の4歳牡馬エスポワールシチーが、
2着に入ったシルクメビウスに3馬身半差を付ける圧勝を飾りました。

「左回りと右回りの違いこそありますが、
  このレースでのエスポワールシチーには、
  アメリカのダート重賞における、
  強い馬のレース振りを見ている感覚を持ちました」

開口一番、エスポワールシチーを絶賛した合田さん。
レース後、主戦の佐藤哲三騎手が言及したドバイワールドC挑戦に関しても、
「好勝負できる実力は十分にある」と、合田さんは断言してくれました。

「ただし、来年からドバイワールドCは
  オールウェザーコースでの開催になりますからね。
  エスポワールシチーのオールウェザー適性が、
  いかばりかのものなのか、それが大きな問題になってきます。
  一般的にオールウェザーコースは、純粋なダート馬より、
  芝適性の高い馬の方が得意とする傾向が出ています。
  エスポワールシチーは芝で初勝利を記録しているだけに、
  そこそこの芝適性も有しているとは思いますが・・・」

ジャパンCダートの2着シルクメビウス、3着ゴールデンチケットは、
いずれも3歳馬。
戦前に合田さんが望んでいた“日本ダート戦線の世代交代”も、
しっかりとした形を持つものとなりました。

「戦前に本命に推していた3歳馬ワンダーアキュートは
  6着に終りましたが(笑)、古豪ヴァーミリアンらを抑えて、
  3歳馬が2、3着したことは高く評価できると思います。
  勝った4歳馬エスポワールシチーも、
  これからもっと強くなってきそうで、
  今後の日本ダート戦線もレベルの高い、
  熱い闘いが繰り広げられることでしょう」

さて、アメリカ馬ティズウェイは、
向こう正面まで2、3番手に付ける積極的な競馬を見せてくれましたが、
3角過ぎから失速、結局12着に大敗しました。

「まあ、実力通りの走りではあったと思います(笑)。
  ただ、ティズウェイは成田に着いて、
  そこから9時間かけて陸路阪神に輸送された。
  その強行軍が、仕上げに響いた面もあったのでしょう」

「関西地区の国際レースは、
  今年のエリザベス女王杯でシャラナヤが、
  マイルCSではサプレザが好結果を出した、
  関西国際空港に着いて、
  そこから三木ホースランドパークへ直行するパターンの方が、
  馬を仕上げやすいのかもしれませんね。
  とはいえ、外国から関空へ降りる航空便や貨物便が
  大幅に減っているのも確かで、
  なかなか難しい面もあるようですが・・・」

ジャパンC、ジャパンCダートをテーマとした
「海の向こうの競馬、そしてホースマン5」は今回で終了。
明日からは、「海の向こうの競馬、そしてホースマン6」として、
日本馬3頭が参戦する香港国際競走のプレビューをお届けします。
お楽しみに!

(完)

構成・文/関口隆哉




合田直弘氏プロフィール

1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。