合田直弘氏インタビュー 海の向こうの競馬5 そしてホースマン

海外からトップホースを招いて行われるジャパンC&ジャパンCダートが11月29日(日)東京競馬場、12月6日(日)阪神競馬場で開催されます。
第8回
外国馬苦戦の要因は、日本のダート馬の強さにもアリ!

2000年に創設されたジャパンCダートにおいて、外国馬が連対を果したのは、
2003年に勝利したアメリカ馬フリートストリートダンサーのみ。
2005年から昨2008年までの4年間(2006年は外国馬の参戦なし)については、
外国馬は掲示板に載ることすらできていません。
もちろん、超一流の実力馬が参戦していない、ということもあるのでしょうが、
まずは、外国馬不振の原因を合田さんに尋ねてみました。

「やはり、欧米の超一流どころにとっては、
  大目標となるレースが終った時期。
  “日本に行って、もう一丁” とモチベーションを高めることは、
  かなり難しいのでしょう」

「それと、左回りの競馬場ばかりのアメリカ馬にとって、
  走り慣れていない右回りの阪神ダートコースというのは、
  参戦を敬遠する材料となっているのかもしれません」

「もうひとつの理由は…」と合田さんが続けます。
  「ここ数年、日本のダート中距離戦線を走っている馬のレベルが、
  非常に高いということも、
  外国馬が掲示板にすら載れない要因になっていると思います。
  今年の日本馬に関して言えば、
  芝路線を走っている一線級よりも、
  ダート路線のトップクラスの方が、
  層が厚いのではないでしょうか」

現状で、自国では超一流レベルに達していない外国馬がジャパンCダートを勝つためには、
かなり厳しい条件が付けられると、合田さんは指摘します。

「フリートストリートダンサーが勝った2003年のように、
  砂だか泥だか分からないような(笑)、
  極端な不良馬場にでもならない限り、
  勝つチャンスはないと考えてもいいでしょう」

明日は、唯一の出走外国馬となったアメリカ馬ティズウェイ、
そして骨折のため出走を断念した、
今年のベルモントS馬サマーバードの話題をお届けします。

(明日更新の第9回に続く)

構成・文/関口隆哉



合田直弘氏プロフィール

1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。