ジョン氏(以下Ｊ)

いちばん活躍したのは、
タップダンスシチーですかね。
あの馬も、当歳の夏に買ったんですよ。
珍しいパターンです。
でも、10億円以上稼いでくれましたね。
あとは、繁殖牝馬だと、ウインドインハーヘアですね。
そう、ディープインパクトのお母さんです。
持っていた牧場から、
どういう事情かはわからないんですが、
「この馬を売ってくれないか？」
という連絡があったんです。
すぐカツミさん（吉田勝己氏）に話をしました。
それが、土曜日の夜だったんですが、
次の朝にすぐ連絡があって
「これはどうしても欲しい。
間違いなくキープしておいてくれ」
という風に言われました。
それで、ぼくが橋渡しをしたんです。
ファインモーションも出している牧場です。
その牧場のついては、こんなエピソードがあります。
数年後、ディープインパクトが三冠馬になったときに、
日本のテレビクルーとかマスコミが
その牧場に殺到したんです。
そして、来る人来る人が
「あんないいお母さんを売って後悔していないのか？　
ファインモーションも売っているし」
と聞くんだそうです。
その牧場の人も、最初はカッコつけて
「全然後悔していない。
お客さんが喜んでくれたら、ぼくらもうれしい」
って答えてたそうなんですが、
でも、あまりに取材が来るから、
最後は頭に来て
「後悔しているに決まってるだろ！」
って怒鳴ったそうですよ(笑)。

――　やっぱり本音はそうだったんですね(笑)。

Ｊ　　　　　　　　　　

ディープインパクトがダービーを勝ったときに、
あの母馬は、エリザベス女王のファミリーだから、
女王のレーシングマネージャーに
「カツミさんに手紙を出したらどうですか」
と、話したら、
本当に女王が手紙を書いてくれたようですよ。
自分のファミリーの子孫が活躍して
女王も嬉しかったんでしょうね。

（つづきは火曜日に更新します）　取材／J-horseman編集部