1980年代終盤から1990年代序盤にかけて、
ファンの圧倒的な支持を集めた
プリンセス・プリンセス (通称 “プリプリ” ) 以来、
日本でも女性ロックバンドの存在は、極めて当たり前のものとなりました。
しかし、1970年代後半ぐらいまでは、日本だけでなく、世界的に見ても、
女性ロックバンドは、どこか “キワモノ” 感がある、
かなりマイナーなものでもあったのです。
その女性ロックバンド受難の時代に登場し、殻を突き破ったのが、
1981年に米でデビューアルバム 『Beauty and the Beast』 を発表した
ゴーゴーズ “The Go-Go’s”。
明るくてゴキゲンなロックナンバー 『ヴァケーション “Vacation”』 などの
ヒット曲で知られるゴーゴーズは、女性ロックバンドとして初めて、
全米アルバムチャート第1位を記録したのです。
ゴーゴーズそのものは、1985年には解散してしまうのですが、
バンド創設メンバーのひとり、ベリンダ・カーライル “Belinda Carlisle” は、
全米ナンバー1ヒット 『Heaven is A Place On Earth』 などを送り出し、
その後、ソロアーティストとして大成功を収めます。
さて、ゴーゴーズの “Go-Go” には、
1960年代に、世界的な大流行となったダンスの “ゴーゴー” と、
「元気いっぱいの」、「流行の」 という意味を表す、
英語の形容詞が掛かっています。
そして日本競馬界にも、この “Go-Go” という英単語を持つ、
トップホースが存在します。
2010年のG2セントウルS、2011年のG3CBC賞を制した
現役の超A級スプリンター、ダッシャーゴーゴーが、その馬。
ダッシャーゴーゴー “Dasher Go-Go” という馬名を訳すと、
「精力的に突き進む人」 ということになるかと思いますが、
豊かなスピードを武器に、
ターフを一気に駆け抜けていくダッシャーゴーゴーは、
まさに馬名に相応しい、素晴らしい競走馬と言えるでしょう。
とはいえ、ダッシャーゴーゴーの場合は、
「精力的に突き進み」 過ぎたのか、
2010年G1スプリンターズS、2011年G1高松宮記念と、
G1レースで2度降着処分を味わう、
史上2頭目の競走馬にもなってしまいました。
まあ、女性ロックバンド、ゴーゴーズ出身のベリンダ・カーライルも、
40歳を過ぎて、『Playboy』 誌にヌードを発表したり、
2010年に発表した自伝で、
40歳半ばまでドラッグ中毒であったことを告白したりと、
何かとお騒がせだったりもするので、
ある意味、ダッシャーゴーゴーのヤンチャなレース振りは、
”Go-Go” という名を持つものの宿命なのかもしれません。
2011年秋には、念願のG1タイトル獲得に挑むダッシャーゴーゴー。
降着云々は、あまり気にせず、
本来の伸びやかな走りを存分に発揮して、
大願成就を目指して欲しいところです。
(次回は9月14の水曜日にお届けします) 構成・文/関口隆哉