NNK大河ドラマの主役も務めた戦国武将に、
毛利元就 (もうり・もとなり) という人物がいます。
一本の矢なら簡単に折ることができるが、
三本を束にすれば、容易には折ることができなくなると、
3人の息子たちに諭した 「三本の矢」 のエピソードで有名な
毛利元就ですが、安芸の小さな領主から、
中国地方全域を治める大大名に成り上がる過程では、
家督相続で対立した異母弟を殺害したり、
大恩ある主家筋に反旗を翻し、これを滅亡に追いこんだりと、
なかなかにエグいことをしてきた人でもあるのです。
毛利元就は、大胆かつ緻密な策略を用いた希代の戦略家として、
世界的にも名が通った武将です。
そして、世界の学者や研究者は、毛利元就のことを、
「典型的なマキャヴェリアン」 とみなしています。
マキャヴェリアン (Machiavellian) とは、
毛利元就と、ほぼ同時代を生き、『君主論』 を著した、
イタリアの政治思想家ニッコロ・マキャヴェッリを語源とする言葉で、
目的達成のためには手段を選ばない、
権謀術数に長けた人物のことを指しています。
競馬の世界にも、“マキャヴェリアン” という馬名を持った名馬がいます。
1987年に米で生まれたマキャヴェリアンは、
ともにG1競走であるモルニ賞、サラマンドル賞を連勝し、
仏最優秀2歳牡馬に選出されました。
英で種牡馬入りしてからも、マキャヴェリアンの勢いは止まらず、
いずれもドバイワールドCを制したアムルタワケル、ストリートクライ、
仏2000ギニー馬ヴェットーリなど強豪産駒を多数輩出する、
世界的規模の大成功を収めます。
日本において、マキャヴェリアンの血を受けた馬というと、
英G1チャンピオンSを勝った直仔で、
現在、種牡馬供用されているストーミングホーム、
母父にマキャヴェリアンが入ったG1安田記念馬アサクサデンエン、
同じくBMSにマキャヴェリアンを持つ、現役G1馬ヴィクトワールピサが、
代表的な存在となります。
アサクサデンエンは、すでに種牡馬入り、
ヴィクトワールピサも、やがては種牡馬となるでしょうから、
ストーミングホームと合わせ、
マキャヴェリアンの血を受け継ぐ “3本の矢” として、
日本馬産界で勢力を伸ばしていって欲しいものです。
(次回は2月9日の水曜日にお届けします) 構成・文/関口隆哉