1987年の夏に光り輝いていた4歳牝馬がいました。
初夏である6月にG3エプソムCを制したのを皮切りに、
7月のG3七夕賞で2着、8月にはG3新潟記念を勝ち、
秋口を迎えた9月のG3オールカマーで重賞連覇を飾った、
ダイナフェアリーが、その馬です。
この夏場の快進撃の印象が強烈なためか、
母となったダイナフェアリーの産駒には、
“サマー” という馬名が付いた息子、娘たちが複数存在するのです。
そのなかでも、一番の出世頭となったのが、
1995年のG3青葉賞で重賞勝ち馬の仲間入りを果たした、
サマーサスピション (SUMMER SUSPICION)。
『ザ・ベストテン』 世代には懐かしい、
杉山清貴&オネガトライブのヒット曲から馬名が付けられた
サマーサスピション (日本語に訳せば “夏の疑惑” ) は、
怪我の影響もあって、大成することはできませんでしたが、
素晴らしい潜在能力を感じさせる大器候補でした。
ほかにも、2勝をあげたサマーベイブ (SUMMER BABE = “夏の恋人” )、
父にサンデーサイレンスを持つサマーサスピションの全弟
ミッドサマーデイ (MID SUMMER DAY = “真夏の一日” ) が、
「夏」 絡みの、ダイナフェアリー産駒ということになります。
ところが、前述の “サマー” が付くダイナフェアリー産駒たちは、
母のようには、夏場に活躍することができませんでした。
サマーサスピション、サマーベイブは夏場のレースに出走せず、
ミッドサマーデイは、その馬名通り8月の新潟で2度走りましたが、
2戦連続で2ケタ着順に敗れてしまいました。
ダイナフェアリー産駒には、「サマー」 関連以外にも、
重賞4勝馬ローゼンカバリー、2勝馬パルシファルといった
オペラ作品絡みの馬名が付いた息子たちがいるのですが、
こちらも夏場に好成績をあげているわけではありません。
そこで、今後注目されるのが、ともにサマーベイブの娘である
現役馬フレンチサマーと、現2歳の父シンボリクリスエスの牝駒。
この2頭が、祖母ダイナファアリーを彷彿させるような、
夏場の快進撃を見せてくれることを期待しましょう。
(次回は1月26日の水曜日にお届けします) 構成・文/関口隆哉