1980年代後半から1990年代初頭に、
世界的なブームとなった音楽&ダンスにランバダ (Lambada) があります。
このブームの象徴となったのが、
フランスのバンド、カオマ (Kaoma) が歌い世界中で流行した 『ランバダ』 。
日本でも、人気ドラマ『男女7人夏物語』の主題歌 『CHA CHA CHA』 で
お馴染みの女性アーチスト石井明美がカヴァーし、
スマッシュヒットを記録しました。
そして、何と言っても強烈だったのが、この曲に合わせて踊られるダンス。
もの凄い密着態勢をとった男女のカップルが、
お互いに片足を股間に差し入れ、
あたかも局部を刺激し合うようにして展開されるエロチックな踊りは、
ある意味、盛りの付いた犬たちの様子を
思い起こさせてくれるものでもあったのです。
これは、ランバダに限ったことではありませんが、
あまりに強烈な印象を与える流行モノほど、飽きられるのも早いもの。
ランバダブームも1年足らずで、すっかり沈静化し、
アッという間に、「後から振り返ると、かなり恥ずかしい流行」 の
仲間入りを果たしました。
1997年のG2日経新春杯を1番人気で制したメジロランバダは、
前述の南米生まれのダンスミュージックが、馬名の由来となっています。
それにしても、メジロランバダが生まれたのは1993年、
競走馬デビューしたのは1996年で、
ランバダブームは完全に過ぎ去っていたはずです。
では、何故この馬名が付けられたのか?
おそらく、1993年生まれのメジロ牧場所有の牝馬には、
メジロダンス、メジロソシアル、メジロステップなど、
ダンスにまつわる馬名を持つケースが多く、その一環として、
数年前に爆発的なブームとなっていた、「ランバダ」 という名前が、
父テリオス、母メジロマリーンの牝駒に付けられたのでしょう。
馬名からすれば、すぐに消えてしまう感もあったメジロランバダですが、
4歳1月の日経新春杯制覇以降も活躍を続け、
5歳時にはG3中山牝馬Sを勝ち、ダートG2エンプレス杯で2着。
1998年11月のラストラン、G1エリザベス女王杯まで、
全22戦を粘り強く走り抜きました。
その、やや軽薄な馬名の印象とは裏腹に、
地に足の着いた競走生活を過ごしたメジロランバダ。
華やかさには少々欠けるかもしれませんが、
1990年台後半の日本競馬を彩った
名牝の一頭であることは、間違いのないところです。
(次回は1月19日の水曜日にお届けします) 構成・文/関口隆哉