開店祝いや、親しい人の誕生日などで、よくプレゼントされる花に、
ラン科に属する 「胡蝶蘭」 があります。
まるで、白い蝶が舞っているようにも見える、
高貴で可憐な花を咲かせることから、
この名前が付いたのですが、値段の方も結構なもので、
3本ほどの茎が付いた鉢物でも、
2、3万円の出費は覚悟しなければなりません。
さて、この胡蝶蘭の学名を “ファレノプシス (Phalaenopsis)” といいます。
1998年にG1桜花賞、G1秋華賞を勝利し、牝馬2冠を獲得、
5歳時にもG1エリザベス女王杯を制した名牝ファレノプシスは、
胡蝶蘭の学名を馬名の由来としているのです。
430~440キロほどの小柄な身体ながら、
迫力満点の末脚で次々とビッグレースを
ものにしていったファレノプシスは、
その綺麗な顔立ちも相まって、
美しさと力強さと妖艶さを兼備した、
胡蝶蘭のような競走馬でもあったのです。
繁殖牝馬となったファレノプシスの6番仔となるのが、
G2フィリーズレビューで2着し、G1桜花賞にも駒を進めた
現役3歳牝馬ラナンキュラス。
“ラナンキュラス (Ranunculus)” とは、
「花金鳳花 (ハナキンポゲ)」 という和名が付いた、
キンポウゲ科の植物の英語学名。
赤、黄、白、桃、紫など様々な色彩を持つ、
八重咲きの美しい花を咲かせるラナンキュラスは、
ファレノプシスとは一味違う、独特の華やかさを誇っているのです。
現在は、骨折による休養に入っている競走馬ラナンキュラスですが、
母譲りの素質の高さは間違いのないところ。
あるいは、母のように、古馬となってビッグタイトルを獲るかもしれません。
余談ですが、現在は解散してしまった女性お笑いコンビに、
“胡喋蘭” という人たちがいました。
こちらの“こちょうらん”は、「蝶」 が 「喋」 に変わっていて、
“喋 (しゃべ) る” ことを生業とする芸人さんらしいコンビ名だと、
ちょっと感心していたのです。
まあ、メンバーのひとり 「あべこ」 さんは、
100キロを越える雄大な体格の持ち主で、
「蝶」 のイメージとは、かけ離れたパーソナリティではあったのですが・・・。
(次回は10月20日の水曜日にお届けします) 構成・文/関口隆哉