“インターネット” という言葉すらなかった1978年、
流行に敏感な、日本のナウな若者たちは、
一本のアメリカ映画の公開を、ひたすら待ちわびていました。
本国で、その映画が封切られたのは、1977年5月。
「凄く斬新な映像を持つ、やたらと面白いSF映画が、
米で大ヒットしているらしい」
そんな情報が、雑誌やラジオを中心に散々流されていたのですが、
肝心の日本公開は、米から1年以上遅れたため、
主要登場人物の姿形を含め、凄いと言われる映像は、
それぞれの頭のなかで想像するしかなかったのです。
そして、いよいよ映画 『スター・ウォーズ』 が、日本でも封切られました。
後に 「エピソード4/新たなる希望」 という
サブタイトルが付いた、この作品は、
音楽も含めた映像の迫力、
スピーディーに展開するストーリーの面白さともに、
事前の想像を遥かに上回る素晴らしさで、
瞬く間に数多くの熱狂的ファンを得たのです。
映画のなかで、もっとも印象的なセリフが、
名優アレックス・ギネス演じるオビ=ワン・ケノービが、
若きジェダイ、ルーク・スカイウォーカーに向かって想いを込めて発する、
“May The Force Be With You (理力とともにあらんことを)”。
共和国の平和を守ってきたジェダイの騎士たちが持つ
超人的能力の源である “Force” には、
「理力」 という造語が当てられていたのです。
後のスター・ウォーズシリーズでは、
“Force” は、そのまま 「フォース」 と訳されることになるのですが、
個人的には、ジェダイの神秘的な力の根源として、「理力」 という造語は、
なかなかピッタリの言葉だったと思っています。
今年のG1英ダービーを勝利した
ワークフォース (Workforce) という馬名を初めて見たとき、
まず、思い浮かんだのが、「フォースを働かせる者」 という訳でした。
もっとも、ワークフォースという馬名の意味は、
「総労働人口、全従業員」 で、
スター・ウォーズ世界とは、まったくの無関係なのですが・・・。
とはいえ、歴代3位タイの着差となる、7馬身差の圧勝を飾った、
英ダービーでのワークフォースの走りには、
「理力」 が強く影響していたような気が、どうしてもしてしまうのです。
(次回は8月4日の水曜日にお届けします) 構成・文/関口隆哉