1991年のG3関屋記念で3馬身差の圧勝を飾ったのがニフティニース。
500キロを遥かに超える大型牝馬で、
パワフルなスピードに優れたニフティニースは、
関屋記念の直後にG3セントウルSも制し、
芝マイル、短距離重賞戦線のトップクラスに躍り出たのです。
結局、脚部不安にも悩まされ、
G1タイトルを獲得することは叶わなかったニフティニースですが、
通算12戦7勝の戦績が示す通り、
超一級品の能力の持ち主であったことは間違いありません。
さて、以前からニフティニースという馬名の意味が気になっていたのですが、
いくら調べても、その英語表記が分かりません。
G3七夕賞を勝った
半弟ニフティダンサー “Nifty Dancer = カッコいいダンサー” や、
半妹ニフティエンジェル “Nifty Angel = 素敵な天使” の馬名から推測すると、
ニフティニースも 「Nifty + ニース」 ということになりそうで、
となれば、“Nifty Nice = 小粋なニース (フランスの高名な観光都市)”
ということなのかなと思うのですが、
本当のところは、どうなのでしょう?
ニフティニースの母は、1981年にアメリカで生まれ、
繁殖牝馬として日本に導入されたニフティアンドニート “Nifty and Neat”。
この場合のニートは、「オスッ! おら、ニート!!」 の方ではなく、
「すっきりとした」、「オシャレな」 の意味で用いられる、
英語の形容詞ということになります。
ニフティアンドニートから連なる母系からは、
アルマナック、マストビーエンゼルなど、
洋風の洒落た馬名の持ち主が多いのですが、
完全な例外となる重賞勝ち馬も出ています。
ニフティニースの娘である
ニフティハート “Nifty Heart = イナセな心持ち” の息子で、
2010年のG2オールカマーなど重賞を3勝している
現役馬シンゲン “Shingen” が、その馬。
当然、戦国武将である武田信玄が、馬名の由来となっているのですが、
一族の馬名の傾向からすれば、フランス料理のフルコースのなかに、
突如、アジの開きが出てきた違和感も覚えるのです。
まあ、「ニフティシンゲン = 素敵な信玄」 よりは、
シンプルにシンゲンだけの方が、競走馬としては、ズッと強そうですが…。
(次回は8月10の水曜日にお届けします) 構成・文/関口隆哉