1978、1986年と2度に渡るW杯制覇を達成し、
マラドーナやメッシといった
世界ナンバー1クラスのプレーヤーを輩出したアルゼンチンは、
世界に冠たる 「サッカー王国」 のひとつとして、
日本のスポーツファンに、広く認知されている国です。
さて、その南米アルゼンチンには、
日本のものとは相当に違う、ユニークな祝日が数多く見受けられます。
たとえば、9月4日は 「秘書の日」 で、
この日は上司が秘書にプレゼントをし、
食事に招待することが慣習だそうです。
また、7月20日の 「友達の日」 には、
友人同士でプレゼントやカードを交換することが恒例となっています。
男性からガールフレンドへ花を贈るのが慣わしとなっている、
「恋人の日」 は、4月1日に制定されています。
この 「恋人の日」 を、アルゼンチンの公用語である
スペイン語で表記すると、“Dia de la Novia”(ディアデラノビア)。
そう、2005年のG2フローラS、2007年のG3中山牝馬S、
同年暮れのG3愛知杯と重賞を3勝した強豪牝馬ディアデラノビアは、
このアルゼンチンの 「恋人の日」 が馬名の由来となっているのです。
ディアデラノビアの母ポトリザリス(Potrizaris)は、
アルゼンチンで生まれ、同国の最優秀3歳牝馬、
最優秀古牝馬に輝いた名牝中の名牝。
そんな母に因み、ディアデラノビアを始めとする、産駒たちには、
アルゼンチンに関連のある馬名が付けられているのです。
ディアデラノビアの1歳下の半妹ドゥルセデレーチェ(Dulce de Leche)は、
アルゼンチンの国民的なお菓子の名前。
余談ですが、本場アルゼンチンのドゥルセデレーチェは、
大量の砂糖をこれでもかと投入する、殺人的に甘いお菓子だそうです。
2004年に生まれた半弟クルサード(Cruzado)は、
アルゼンチン生まれのダンスである、タンゴのステップの名称。
2005年生まれの半弟マゼラン(Magellan)は、
アルゼンチンが属する南アメリカ大陸を発見した、
ポルトガル生まれの著名な探検家フェルディナンド・マゼランを
馬名のルーツとしています。
そして、2007年に生まれた半弟バルトーロ(Bartolo)は、
アルゼンチンタンゴとして最初に採譜された、記念すべき楽曲の作品名です。
2008年に現役を退き、現在は繁殖牝馬となっているディアデラノビア。
もしかすると、ディアデラノビアの産駒に、
前述の 「友達の日」 からとった “ディアデルアミーゴ”(Dia del Amigo)、
8月6日の 「子供の日」 を指す、“ディアデルニノ”(Dia del Nino)、
10月の第三日曜日となる
「母の日」 を表わす “ディアデマードレ”(Dia de Madre)といった、
アルゼンチンの祝日を、馬名の由来とするものが出てくるかもしれません。
(次回は4月28日の水曜日にお届けします) 構成・文/関口隆哉