1983年にアメリカ、そして日本でも封切られた傑作青春映画が、
『ゴッドファーザー』 シーリズで知られる、
巨匠フランシス・コッポラが監督した 『アウトサイダー』 です。
作品としての素晴らしさとは別に、
アメリカの田舎町に住む若者たちを演じた出演者のなかに、
トム・クルーズ、マット・ディロン、
ロブ・ロウ、ダイアン・レインといった
後にハリウッドを代表する大スターとなった俳優たちが多数いたことで、
この映画は、半ば伝説的な作品にもなっています。
『アウトサイダー』 の主題歌となったのが、
スーパースター、スティーヴィー・ワンダーが歌う
名バラッド、「ステイゴールド(Stay Gold)」。
「黄金のような若き時代を忘れないで・・・」と、
当時30歳を少し超えたばかりのスティーヴィーは、
切々と謳い上げています。
このスティーヴィー・ワンダーの名曲に因んで名付けられたのが、
日本競馬界きっての個性派名馬ステイゴールドです。
とはいえ、ステイゴールドの「黄金のような若き時代」は、
苦難の連続でもありました。
2歳12月にデビューしたものの、初勝利まで6戦を要し、
6歳5月の目黒記念で重賞初制覇を達成するまでには、
なんと38戦もかかったのです。
しかし、ラストランとなった通算50戦目の香港ヴァーズで、
ステイゴールドは念願のG1タイトルを獲得します。
これが、20回目のG1レース挑戦。
若き日の数々の悔恨を乗り越えて、
ついに7歳の大ベテラン競走馬ステイゴールドは頂点を掴んだのです。
ちなみに、香港のレースに出走する際に付けられる
ステイゴールドの漢字名は、「黄金旅程」。
最後の最後で黄金に辿り着いたステイゴールドの競走馬人生を、
予言するような馬名でもあったのです。
(次回は2月24日の水曜日にお届けします) 構成・文/関口隆哉