世界の競馬界では、馬名についての共通の決まり事があります。
それは、『競馬と生産に関する国際協約(通称“パリ協約”)』で定められた
「馬名はアルファベット18文字以内」というルールです。
2文字以上9文字以内のカタカナで表記される日本の馬名ですが、
馬名登録のときに義務付けられるアルファベット表記では、
外国馬と同じように、18文字以内という国際ルールが適用されているのです。
さて、アルファベット18文字以内ということで、よく引き合いに出されるのが、
「UCANCALLMEMR.LUCKY」
という馬名。
「MR」の後の「.」も一文字に数えるので、
上限となる18文字ピッタリの、活字で見ると、とても読みにくい馬名となるわけです。
この読みにくさは、
たとえば、「NORTHERN DANCER」の「N」と「D」の間に入る空白も一文字分に数えるため、
18文字ちょうどの「UCANCALLMEMR.LUCKY」は、
ギッチリと文字を埋めて表記されることにも起因しています。
さらに、本来なら「YOU」となるところを「U」と変換しているわけですから
(プリンスが作った名曲、“NOTHING COMPARES 2 U”を連想させ、けっこうカッコ良かったりもするのですが)
馬名のギッチリ感が、より増幅して見えるのかもしれません。
18文字ではありませんが、2005年の英2000ギニーを制した「FOOTSTEPINTHESAND」も
17文字のアルファベットが空白なく連なった、とても読みにくい馬名の持ち主です。
ところが、この馬をカタカナ表記にすると、
「フットステップインザサンド」と計13文字になり、読みにくさが、だいぶ軽減されるのです。
ちなみに、「UCANCALLMEMR.LUCKY」をカタカナ表記にすると、
「ユーキャンコールミーミスターラッキー」。
こちらもピッタリ18文字となり、
やはりとても読みにくかったりするのも、
この馬名が持つ、独特の凄味のようなものに繫がっている気がします。
(次回は12月9日の水曜日にお届けします) 構成・文/関口隆哉