1995年、ドイツ馬として初めてジャパンCを制したのが、ランド(LANDO)。
その血統表を見てみると、ある法則に従って、
先祖たちからランドまでの馬名が付いていることが分かってきます。
まずは、ドイツ土着の血を受けた母系に注目。
LANDOの母の名はLAUREA(ラウレア)、祖母がLICATA(リカタ)で、
曾祖母がLIBERTY(リベルティ)、そして4代母LIS(リス)へと遡っていくのですが、
すべての馬名が “L” で始まっていることにお気づきでしょうか。
父系に目を転じても、同じ現象が見られます。
ともにランドと同じ独ダービー馬である
父ACATENANGO(アカテナンゴ)の母はAGGRAVATE(アグラヴェート)、
祖父SURUMU(ズルムー)の母はSURAMA(ズラマ)。
つまり母の名の頭文字をとって馬名を付けるのが、ドイツのルールなのです。
ランドの母父となっているSHARPMAN(シャープマン)の母はMISS MANON(ミスマノン)で、
その頭文字を踏襲してはいませんが、
これはシャープマンがイギリス産馬で、ドイツの規則が適用されていないからです。
父である種牡馬は、毎年たくさんの直仔を持ちますが、
母となる繁殖牝馬は、原則的に年に一頭の仔しか産みません。
血の関係性がより濃い母の名の頭文字をとって、産駒の馬名を付けるドイツのルールは、
“ブラッドスポーツ(血の競技)”とも呼ばれる競馬の本質を、よく顕していると思います。
(次回は12月2日の水曜日にお届けします) 構成・文/関口隆哉