サッカーの試合において、一人の選手が1試合に3得点することを
ハットトリック “Hat Trick” と呼ぶのは、皆さんご存知かと思います。
ちなみに、「ゴン」 の愛称で知られる中山雅史選手は、
Jリーグのジュビロ磐田在籍時に記録した4試合連続ハットトリック、
日本代表の対ブルネイ戦でマークした、
試合開始3分15秒でのハットトリック達成という、
ふたつのギネス記録を保持しています。
とはいえ、ハットトリックという言葉は、
サッカーだけで使用するわけではありません。
ホッケーでも1試合で一選手が3得点すればハットトリックといいますし、
ダーツ競技で1スローの3本すべてをプルエリアに入れることも、
ハットトリックと称します。
元来、ハットトリックはサッカーで生まれた用語ではなく、
クリケット競技において、投手 (ボウラー) が、
3球で3人の打者をアウトにすると、
帽子 (ハット) がプレゼントされたことに由来しているのです。
さて、競馬の世界にも、ハットトリックという馬名を持つ名馬がいます。
2004年5月に競走馬デビューしたハットトリックは、その馬名通り、
好成績をまとめて収めるタイプで、
デビュー戦と2戦目となる500万下特別を連勝、
3歳10月からは、1000万下特別、準OP特別、
G3京都金杯、G3東京新聞杯と破竹の4連勝を飾りました。
そして、競走生活のハイライトとなったのが、
4歳秋のG1マイルCS、G1香港マイル連覇。
この2つのG1レースで、ハットトリックが示した破壊力満点の末脚は、
間違いなく世界トップレベルのものでした。
さらに面白いのは、21戦8勝の戦績を残したハットトリックですが、
負けた13のレースでは、2、3着はもちろん、
すべて掲示板すらハズしている点です。
無駄なことは一切せずに、ここぞというチャンスは必ずものにする。
まさに、その競走スタイルは、
得点への優れた嗅覚を持つ、
サッカー界の超一流ストライカーを彷彿とさせるものでもあったのです。
2008年に米で種牡馬入りしたハットトリックは、
オーストラリアやアルゼンチンでもシャトル供用される、
世界を股にかける人気サイアーとなっています。
米で生まれた初年度産駒は、2011年からデビュー予定。
父を超える、G1タイトルのハットトリックを達成するような
超大物二世の誕生を期待したいところです。
(次回は3月30日の水曜日にお届けします) 構成・文/関口隆哉