3歳牡馬王者フジキセキの電撃引退、
G3共同通信杯、G2スプリングSを連覇していた
ナリタキングオーがレース前日に出走取消と、
大きなアクシデントが続き、
本命馬不在の大混戦となった1995年のG1皐月賞。
道中2番手追走から、直線早めに抜け出し、
タヤスツヨシの猛追をクビ差抑えて、このレースに勝利したのは、
3番人気に推されていた、岡部幸雄騎手騎乗のジェニュインでした。
不世出の大種牡馬サンデーサイレンス産駒初の
クラシックウイナーともなったジェニュイン “Genuine” の馬名は、
「本物の、正真正銘の」 という意味を持つ、
英語の形容詞に由来しています。
4歳時にも、G1マイルCSに勝ち、
3歳時のG1ダービー、G1天皇賞・秋、5歳時のG1安田記念で、
いずれも2着したジェニュインは、
その馬名通りの、「正真正銘の名馬」 でもありました。
6歳となった1998年から種牡馬となったジェニュインは、
正直、トップ中のトップサイアーとまでは呼べませんが、
ダート戦や、やや力の要る芝を得意とする産駒を数多く送り出す
中堅種牡馬として、息の長い活躍を示しています。
これまでのジェニュイン産駒の大物といえば、
G2兵庫CS、G3名古屋大賞典と
ダート交流重賞をふたつ制した現役馬のドンクール “Don Cool”、
そして、オーストラリアでシャトル供用されていたときに誕生した、
豪G1オーストラリアンC馬ポンペイルーラー “Pompeii Ruler” の
名前があげられます。
ドンクールは、「冷静沈着な首領」、
ポンペイルーラーは
「ポンペイ (火山噴火で埋没した古代ローマの都市) の支配者」
という意味になりますが、いずれにしても、
スケールの大きさを誇る人物を連想させる馬名となっています。
この馬名におけるジェニュイン産駒成功の法則には、
ある理由が隠されている気がしています。
それは、ジェニュインの母である
クルーピアレディ “Croupier Lady” の力が働いているということ。
何せクルーピアレディを日本語に訳すと 「賭場の女主人」 。
職業柄、大人物であることは疑いようがない、お祖母ちゃんが、
同じくスケールの大きな名を持つ孫たちの頑張りを
強力に後押ししているわけです。
(次回は4月27日の水曜日にお届けします) 構成・文/関口隆哉