1985年にアメリカで製作され、翌1986年に日本で公開された、
『マドンナのスーザンを探して』 というコメディ映画があります。
マドンナというのは、世界的女性アーティストである、
あのマドンナ “Madonna” のこと。
1984年に 『ライク・ア・ヴァージン “Like a Virgin”』 の大ヒットにより
スーパースターの座を掴んだマドンナにとって、
『マドンナのスーザンを探して』 は、初の映画出演作品でもあったのです。
ところで、日本でのタイトルに 『マドンナの~』 と銘打っているものの、
この佳品の本当の主役は、マドンナではありません。
マドンナが扮した自由奔放な若い女性スーザンに強い憧れを抱き、
行方不明になった彼女を探し続ける平凡な主婦ロバータを演じる
ロザンナ・アークウェットの巧みでキュートな演技こそが、
間違いなく、このウェルメイド・コメディの肝となっているのです。
『マドンナのスーザンを探して』 の原題は、“Desperately Seeking Suzan”。
日本語に訳せば、「死に物狂いでスーザンを探している」
というところでしょうか。
競馬の世界にも、「探し物をしている」 一族がいます。
『マドンナのスーザンを探して』 のロザンナ・アークウェットのように、
そのファミリーの主役を務めるヒロインは、
3歳時にG1NHKマイルC、4歳時にG1モーリス・ド・ギース賞と、
日仏でG1レースを制した、名牝シーキングザパール “Seeking the Pearl”。
「黄金」 を探している父シーキングザゴールド “Seeking the Gold” の娘で、
「真珠 “Pearl”」 を探していたシーキングザパールは、
その競走生活のなかで、見事に最高級の天然本真珠を見い出したわけです。
そして、シーキングザパールの息仔となるのが、
「ダイヤモンド “Diamond”」 を探していた、
シーキングザダイヤ “Seeking the Dia”。
G2ニュージーランT、G2浦和記念など、重賞競走を5勝しながら、
4、5歳時のG1ジャパンCダート、5歳時のG1JBCクラシックなど、
G1競走で2着9回という快 (怪) 記録を持つ
シーキングザダイヤの競走人生は、
最高級の研磨済みダイヤモンドである
「ザ・ゴールデン・ジュビリー」 とまではいかないものの、
鑑定書の付いた、立派なダイヤモンドであったことは確かでしょう。
2008年に日本で種付けされた、
種牡馬シーキングザダイヤの初年度産駒は、
2011年夏からデビュー予定。
さらにシーキングザダイヤは、
2009年からアメリカに渡り種牡馬生活を続けているのですが、
きっと、日本や米で、
「新たなる探し物をしている」 優秀産駒を送り出してくれることでしょう。
(次回は5月11日の水曜日にお届けします) 構成・文/関口隆哉