2009年09月23日
こんにちは。
シルバーウィークも最後の日になりました。
名残惜しいようですが、
気分を切り替えて週末に備えたいと思います。
さて、きのうはオールカマー史上に残る名レースを見せてくれた
アラブの怪物・セイユウのお話をしました。
ところで最近はあまり聞かなくなったのですが、
サラブレッドの一種にサラ系と呼ばれる馬たちがいます。
馬の戸籍である血統登録の習慣がなかったころの
オーストラリアやアメリカから輸入された一群の馬たちです。
彼らは内国産馬と比べても
マイルで2秒から3秒は早かったと伝えられており、
間違いなく優秀なサラブレッドだったのでしょう。
しかし代を重ねるにつれ圧倒的な能力差が縮まってくると、
血統書の裏づけがないサラ系は一段低く見られ、
出走できるレースも限られてきます。
こうした馬たちにとってオールカマーは格好の晴れ舞台でした。
1972年のオールカマーに出走したイナボレスもその一頭です。
王や長島がヒマワリなら
俺は日本海にひっそりと咲く月見草。
プロ野球の野村克也監督の有名な言葉ですが、
サラ系の馬たちにもこんな趣がありそうですね。
1番人気はヒンドスタン最後の大物ハクホウショウで、
まさにエリート中のエリートです。
対してサラ系のイナボレスは11頭立ての9番人気。
貴公子と雑草、失礼ですがそんなイメージですね。
ところが競馬はやってみなければわかりません。
49キロの軽量にも恵まれたのでしょうが、
イナボレスは鮮やかにハクホウショウ以下を差し切ります。
その後も彼はユニークなハンデキャップホースとして
忘れたころに穴を開けて驚かせたり呆れさせたりしながら、
結局、まさに雑草のようにたくましく76戦をタフに走り
金杯、目黒記念、愛知杯を加えて重賞を4つも勝ちました。
ちなみにこの馬、政治家・稲富稜人さんの持ち馬でした。
前々年は田中角栄さんの愛馬マキノホープが勝っています。
政治家も競馬に夢を託すおおらかな時代だったんですね。
きょうも来てくださってありがとうございます。
あすも競馬のちょっといい話をお届けできたらと思っています。
どうぞよろしくお願いします。