2010年04月27日
こんにちは。
きのうは “レースの価値” というお話をしました。
馬場状態やコース形態の影響を受けやすい走破時計、
相手関係やレース展開に左右される着差を見るのではなく、
価値の高いレースを勝った馬が強いという考え方ですが、
そもそも強い馬が集まってこそレースの価値も高くなります。
ドバイワールドCのように高額賞金をドーンと用意するのも
強い馬を集める手段のひとつなんでしょうが、
どうやらそれだけではないという気もします。
そこで問われるのは強さとは何だろうということになります。
競馬発祥の地・イギリスではかつて三冠が強さの指標でした。
1600mの2000ギニー、2400mのダービー、
そして約2930mのセントレジャーですね。
ところが良く知られているようにイギリスにおける三冠馬は、
1970年のニジンスキーを最後に絶滅状態にあります。
エプソムダービーより4年も前の1776年に創設された
伝統と品格を誇るクラシックレースも時代に流れの中で
事実上、数あるG1のひとつという扱いになっています。
日本では天皇賞がホースマンの夢だった時代があります。
起源は1880年といいますから明治13年、
横浜競馬場で行われた 「The Mikado’s Vase」 というレース。
「Vase」 とは壷とか花瓶の意味らしいのですが、
明治天皇から賜った花瓶が賞品に供されたのが由来です。
その後、1905年にエンペラーズCと名付けられ、
翌年からは帝室御賞典として引き継がれ、
戦後は天皇賞と名を変えて春と秋に3200mの長丁場で、
完成された古馬の強さを競うこのレースに勝つことを
何よりの名誉に感じる馬主、厩舎人が多かったようです。
とくに春は昭和天皇の誕生日である4月29日に行われ、
ファンにとっても風物詩のように親しみやすい存在でした。
ところが明治、大正、昭和、平成と4代を経て、
「The Mikado’s Vase」 から130年がたった今、
天皇賞・春が世界の潮流から取り残されていると
感じる人が多くなっているように思います。
きょうも来てくださってありがとうございます。
“天皇賞・春の意義が問われている”、
そんな問題をあすもご一緒に考えてみたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。