2010年11月02日
こんにちは。
オーストラリアではソーユーシンクという新星が
メルボルンCで大注目を集めているというお話をしました。
開催日は国民の祝日となるほど国民の間に定着し、
普段は馬券に無縁な人も買うというメルボルンC、
こんな例は世界中探してもオーストラリアだけでしょう。
ちょっとケースは違いますが、日本でも昭和時代は
4月29日の天皇誕生日に天皇賞が行われていました。
あまり競馬をやらない人が馬券に親しむのは、
このレースと有馬記念というのが通り相場でした。
競馬ファン拡大のキャンペーン効果は大きかったと思います。
さて、そんなわけで国民的大注目のソーユーシンクですが、
最近では伝説の名馬ファーラップと比較する論調が目立ちます。
ファーラップは1930年代のオーストラリアの国民的英雄で、
生涯51戦37勝、2着3回、3着2回という成績を残しました。
まだ9戦7勝のソーユーシンクは及びもつかないのですが、
同じニュージーランド生まれであることや、
何より今回の “過密な” ローテーションに
ファーラップの偉業を思い出せるものがあるようです。
ソーユーシンクは10月に連闘を含め3戦3勝、
中2日でメルボルンCに臨むのはきのうもお話をしました。
日本ではちょっと考えられない過酷なローテーションです。
ところが80年も前と時代は大きく違いますが、
1930年のファーラップは10月に5戦5勝、
連闘の11月1日のレースを叩いて中2日でメルボルンC制覇、
さらに中1日ずつの間隔で連章記録を伸ばしました。
10月、11月の35日間で9戦9勝という凄まじさです。
これだけ走れば国民が夢中になるのも当然です。
1930年代初頭は世界恐慌の真っただ中、
人々は閉塞する時代の中で “英雄” を求めていました。
辛い現実を束の間忘れさせてくれるヒーローが必要だったのです。
そこへ現れたのがファーラップだったのです。
彼はどんな政治家よりも国民を慰め力づけました。
オーストラリアは欧米ほどではないにしろ経済の先行きは不透明、
そんな空気を吹き飛ばしてくれることを
国民はソーユーシンクに期待しているのでしょうか。
きょうも来てくださってありがとうございます。
トウカイトリックと藤田伸二騎手は敵役の格好ですが、
憎らしいヒールを演じてくれたらいいですね。